優勝馬にJBCへの優先出走権が与えられる『Road to JBC』がいよいよ始まった。まずは船橋1800メートルで争われる日本テレビ盃JpnⅡ。この日の船橋競馬場は台風17号の影響で強風が吹き荒れ、気温も30度近くまで上がっていた。そんな中でも、昼間開催ということもあってか場内は多くのファンで賑わっていた。
なお笠松のコスモマイギフト、イッセイイチダイ、キタノイットウセイの3頭は、馬運車の故障により競馬場に輸送できず残念ながら競走除外。今年の日本テレビ盃JpnⅡは8頭での戦いとなった。
なんといっても注目は、デビューから4戦無敗でジャパンダートダービーJpnⅠを制し3歳ダートチャンピオンに輝いたクリソベリルの参戦だ。もともとこのレースは3歳馬自体の出走が少なく、JRA所属では2008年のナンヨーリバー1頭のみ(指定交流競走となった1998年以降)。クリソベリルが優勝すれば3歳としては初の快挙(同)である。さらには、単勝1.1倍という大きな期待も背負っていた。しかし、そんなプレッシャーをものともせず、あっさりと偉業を成し遂げたのだった。
「行く馬を行かせて、後ろでリズムよく走らせるようなイメージでした」というクリソベリルの川田将雅騎手の思惑通り、ゲートが開くとロンドンタウンが先手を主張した。ヒラボクラターシュ、その内にハクサンルドルフが続き、クリソベリルは4番手でレースを進めた。その後ろを、2番人気のノンコノユメ、3番人気のアポロケンタッキーが追走していた。
3コーナーでクリソベリルが2番手まで上がると、ロンドンタウンと2頭で後続を引き離し、直線では一騎打ちになるかと思われた。しかし残り200メートルでクリソベリルが並ぶ間もなく先頭に立つと、そのまま4馬身突き放し、圧巻の強さで重賞3連勝を決めた。
2着ロンドンタウンの岩田康誠騎手は「直線入口ではおっと思いましたが、勝った馬が強かったです」とコメント。さらに4馬身差の3着にはノンコノユメが入った。
ジャパンダートダービーJpnⅠから約2カ月半ぶりの出走となったクリソベリルだが「前走と同じ感じではあったが、少し緩く仕上げました」と音無秀孝調教師。また川田騎手も「もっと仕上げていかなければいけない分、今日は少し動けませんでした」と。また、ジャパンダートダービーJpnⅠの際「ポテンシャルの高さにまだ身体が追いついていない」という言葉が印象的だったが、それは今回も変わらないとのこと。それでいてこのパフォーマンスを披露するとは、本当に末恐ろしい3歳馬である。音無調教師によると今年のJBCは「浦和競馬場の小回りコース」を理由に出走はせず、この後はチャンピオンズカップGⅠを目指すそうだ。一線級の古馬相手にクリソベリルがどんなレースを見せてくれるのか、そして一気にダート界の頂点へと駆け上がるのか大注目だ。
地方馬最先着となった大井のノンコノユメは、着差は開いたものの最後はしっかり伸びてきた。今回初コンビだった笹川翼騎手は「ゲート内も大人しかったしスタートも上手くきれました。3~4コーナーでは機動力の差が出ましたが、終いはしっかり切れました。やはりすごく良い馬ですね。こういう馬に乗せてもらえて有難いです」と振り返った。
なお、メインレース終了後、9月上旬に千葉県を襲った台風15号により被災された方々を支援するため、騎手や調教師による募金活動が行われ、多くの方が呼びかけに応えた。
Comment
川田将雅 騎手
無事に勝つことができて良かったです。イメージ通りにスムーズな競馬で、負けることはないと思って乗っていました。目標は先ですし、今日の段階では内容は悪くなかったと思います。成長が伴えば日本で一番を争える馬になるだろうと期待していますので無事に進められればと思います。
音無秀孝 調教師
行く馬の後ろでレースをするという作戦でしたから主張する馬がいて乗りやすかったと思います。最後は交わしてくれると思っていました。来週放牧に出して、11月頭に入厩して12月のチャンピオンズカップという流れになると思います。次は本当にメンバーが強くなるのできっちりと仕上げていきます。