青藍賞は、10月14日に盛岡ダート1600メートルで行われるマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠの岩手代表切符をかけた一戦。昨年まで水沢競馬場で実施されていたレースで、今シーズンは開催日程の変更もあり、秋の盛岡開催で行われることになった。ちなみに青藍賞の盛岡開催は、東日本大震災で水沢競馬場が使えなかった2011年(その年は12月から水沢競馬が再開)以来、8年ぶりとなる。
南関東から再転入後はシアンモア記念を圧勝し、休み明けとなった前走A級一組の初秋特別を58キロの斤量で楽勝したロジストームが単勝1.7倍の1番人気に支持された。一條記念みちのく大賞典をスピードで押し切りレコード勝ちしたハドソンホーネットが3.4倍の2番人気で、今シーズンB級スタートから7月に準重賞・すずらん賞を制して勢いあるダイチラディウスが4.9倍の3番人気。前年の覇者で地方重賞13勝を誇るエンパイアペガサスは当日の馬体重マイナス11キロが敬遠されてか9.7倍の4番人気。ここまでが単勝で10倍を切るオッズに。
まず見どころは900メートルほどあるバックストレッチでの先行争い。スタートはバラバラとした感じだったが、外枠3頭が鋭いダッシュ。ハドソンホーネットが押してハナを主張するまでに300メートルほどかかったが、その後も同馬と、キングジャガー、ロジストームと3頭が併走状態で3コーナーへ。テンに脚を使ったハドソンホーネットは早めに脱落し、勝負どころの残り600メートルでは離されていた中団・後方グループも迫り、馬群はだいぶ詰まってきた。
4コーナーでキングジャガー、ロジストームの手ごたえはまだあり、勢いよく上がってきたのはエンパイアペガサス。ロジストームとの叩き合いを制したのはエンパイアペガサスで、青藍賞連覇達成となった。
鞍上の菅原俊吏騎手は「追い切りに乗るまでは、夏負けぎみでいい状態にはないと聞いていましたが、調教はいつも通りの感じでしたし、それでも良いころの状態に比べると七分くらいかな。ただ、これなら走れると思って、佐藤祐司調教師に、『使いましょう』と伝えました。当日は装鞍所やパドックで活気があったので、ひょっとしたらとは思いましたね。みちのく大賞典は本来の走りができなかったですし、今日はビックリするぐらい強い姿をファンの皆さんに見てもらうことができて良かったです。改めてエンパイアペガサスの力を感じました」とその強さを語ってくれた。
半馬身差で2着となったロジストームの村上忍騎手は「返し馬はいつもと同じ感じで良かったのですが、スタートして気合いが入りすぎて引っかかってしまった。こんなことは、今まで一回もなかったこと。休み明けを叩いて中1週でレースに臨んだのが影響したのかもしれない。そのためか、最後の叩き合いになって甘くなったんでしょうね」。いつも気さくな村上騎手だが、レース直後はちょっと話かけにくい雰囲気ではあった。
ラップは、12.5-11.4-11.8-12.3-12.4-12.3-12.7-12.9で、前半3ハロン35秒7、後半3ハロン37秒9のハイペース。最後方を追走していたレプランシュが4馬身差の3着に入り、先行馬には厳しい流れだったことがわかる。そのレプランシュの坂口裕一騎手は「芝向きの馬だし、トモが緩いので追走には手間取りましたが、今日は意外についていけました。流れがうまく向いてくれました」。と思わぬ好走に笑みも出るほど。
佐藤調教師は、「これだけのレースをした反動も気がかりですし、馬の状態をよく見ながら次走は検討するつもりです」とのことだった。
Comment
菅原俊吏 騎手
この馬には盛岡ダート1600メートルは忙しいとは思っていますし、ペースも速そうだったしバックストレッチでは多少ついていけない感じだったのですが、手ごたえは悪くなかったので仕掛ければいけるかなと思いました。いい脚を使って直線はしっかりと伸びてくれました。これなら今後のレースも楽しみです。
佐藤祐司 調教師
みちのく大賞典を使われた後に北海道の牧場へ放牧に出して、戻ってきて思いのほか暑さに堪えて状態は悪かったですね。これまでとまったく違う調教過程となってしまい手探りの状態で調整。直前まで、使うかどうか迷っていたほどです。今回は本当に、エンパイアペガサスの底力に頭が下がるレースでした。