第4回 2008年9月5日 エイシンチャンプ |
「馬運車からいななきながら降りてきて、なんか雰囲気が違うなぁって思いました。他の馬と大きく変わりませんが、歩きが堂々としているんです。これが、GT馬なのかなぁって・・・」と、九十九里浜一宮乗馬センター代表の中村陽子さん。
02年朝日杯フューチュリティSを優勝し、その年のJRA最優秀2歳牡馬に選出されたエイシンチャンプ。JRA卒業後は大井の堀千亜樹厩舎に所属し、06年大井記念制覇をはじめ重賞戦線で活躍し、復活を遂げました。「開業当初から巡り合えて、厩舎の雰囲気を盛り上げてくれたね。いい緊張感だった」(堀調教師)。
07年6月の隅田川オープンを最後に、脚部不安のため惜しまれつつ引退。今は、千葉県九十九里浜の最南端に位置する乗馬センターで、第二の馬生を過ごしています。
ここの一番の目的でもある乗馬普及のために、たくさんの人たちが騎乗して楽しめるようにと、今は乗馬の体作りや基礎訓練をしています。競走馬としてはトップクラスで活躍しても、乗馬ウマとしてはピカピカの一年生なんです。
現役時代から、放つオーラは抜群。久しぶりに会いましたが、ただ何気なく洗い場につながれているだけでも、独特の威圧感というか凄味というか、その空間だけ違う空気が流れているかのようでした。
「手入れなどもおとなしくて扱いやすいですね。馬に対しては耳をしぼって気の強い部分を見せたり、人間に対しても怖がるのを、わざと面白がって怒ったフリをするけど、根本は人懐っこいですよ。物覚えが早いし、頭のいい馬です」(中村さん)。ここの同僚でもある、中央から大井に来て境遇が似ているザブレスには、おとなしくしているそうです。チャンプ、さすが(笑)。
競走馬は速く走ることが仕事ですが、乗馬ウマになると、一歩一歩をゆっくりとリズミカルに歩くことが必須条件。肉体面も精神面も全てが変わってきます。今では中級以上の乗馬経験者が騎乗できるまでになりましたが、時より早く走ってしまうなどの仕草も見せるため、まだ初心者が乗ることはできません。
現役時代、チャンプの走りに夢を与えてもらった熱烈なファンたちが、今でもニンジンやリンゴなどの好物を持って、たくさん会いに来るほど。「チャンプに乗ってみたい!」そんな声も多々あるそうで、今度はそんな新たな夢に応えられるよう、チャンプは歩き出しています。
この温暖な地で、ゆったりと・・・
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