第2回 2008年6月4日 アヤノミドリ |
「クインサンシーは母系が良かったし、いつかは走る仔を出してくれるんじゃないかって期待していたんだよ。牡馬の中に入って、まさか牝馬で勝てるとは思わなかったなぁ。思いが叶ったね。テレビを見ながら友達と大騒ぎだった(苦笑)」と、三石で牧場を営む長手猛場長。
クインサンシーの仔アヤノミドリが第一回園田ダービー(現名称は兵庫ダービー)を勝ったのは、今から8年前。99年に兵庫県競馬組合がサラブレッドを導入し、その一期生でした。
テンのスピードを生かして軽快な逃げを見せるアヤノミドリに対し、虎視眈々と2番手から追走していく菊水賞の勝ち馬マッキーローレル。最後はこの2頭のマッチレースになり、写真判定の末にハナ差制しました。
6年ほど前に現役を退いたアヤノミドリは、生まれ故郷の長手さんの牧場で繁殖生活に入っています。マーチSを優勝したアミサイクロンを生産したことでも知られる牧場で、今はアヤノミドリをはじめ繁殖牝馬が3頭。
「昔はすごいきつい気性だったけど、今はそんなことないし、おとなしいよ。子供はとってもかわいがるね。出産も最初から大変じゃなかった」。すでに5頭の産駒を誕生させ、11歳になりました。
母として脚光を浴び始めたのは、皆さんもご存じのことですね。そう、最初の仔デスモゾームが、南関東で大活躍中です。今では530キロ台の巨漢馬ですが、「小さくてお腹が出て、道産子みたいだったよ(笑)。それでも尻の位置が高かったから成長するとは思っていたけど、小さかったからセリに出せなかった」。結局、長手さんが馴致をしたそうで、他の馬よりも牧場にいた時間は長かったそうです。「1歳秋以降に急に大きくなった。馴らしていくうちに、なんか違うところがあるなぁって思うようになってきたけど、馬はわからないもんだねぇ」。
今年生まれたとねっこは、デスモゾームの全妹(4月12日生まれ)。体もしっかりしていて、長手さんの期待も大です。
「初仔から走ってくれたから、またどこかで走るんじゃないかって期待しているよ。本当は生産を辞めようと思ったこともあったけど、一つ走ると励みにもなるからね。またデスモに続くような馬を作りたい」。ダートグレードで活躍しているフィールドルージュを生産した中田英樹さんとは友人同士。いずれ対決できる日が来れば…と話に花を咲かせているそうです。
ダービー馬になり、重賞勝ち馬の母となり、そして親代わりの長手さんの生きがいとして、アヤノミドリは北の大地で輝き続けています。
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