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第80回 2018年5月10日(木) チャーシューメン(盛岡競馬場)
盛岡競馬場
「スガワラ」 チャーシューメン(700円)
屋台村の馬場に近い位置にあります
以前から「盛岡競馬場に素朴なラーメンがある」という話は聞いていて、ようやくそれを注文する機会が巡ってきました。
場所はスタンドの後方にある「屋台村」のなかにある「スガワラ」さん。ラーメン、みそラーメン、チャーシューメンと揃っているけれど、ここはイッチョ、チャーシューメンにしてみようかな。
と決定して席に座って待つこと3分。「チャーシューメンのかた~」という声が聞こえてきたのでカウンターに戻ると、おお、これが噂のラーメンですか!
まずは香りを確かめると、大きく主張する成分はあまりないかなという印象。続いてスープを飲んでみると、素直な味のなかにいろんなものが入っている!
チャーシューメン登場
ちまたにある、いわゆる“昔ながらのラーメン”には、業務用のラーメンスープの素に業務用の鶏ガラスープという、わりと単純なものもあるのですが、ここのラーメンは絶対に違う感じ。さらに3枚乗っているチャーシューがなかなかの厚みで、しっかりと作り込まれていることが一目でわかりました。これを週3日開催の岩手競馬で、しかも水沢開催になると入場者数がガクンと減る盛岡競馬場で提供するのって、かなり大変なことですよ!
と直感したので厨房のマスターに聞いてみると
「最近よくある、自分を主張するラーメンという感じではないですが、でもいろいろなものが入っていますよ。昆布は北海道の厚岸のもので、煮干しは千葉の銚子から。鶏ガラも同じところのものを使っています。でも化学調味料を使っていませんから、味のコンディションがそのときそのときで違うんですよ」
迫力あるチャーシュー
味のコンディション、ですか?
「1日のなかでも違いますね。朝10時からお店が始まりますが、午前中は昆布が多少強くて、だんだんと豚と鶏が出てきます。それを昆布で埋めて、3時頃になると豚がちょっと強くなってきます。野菜も麺も日によって火の通りやすさが違いますし、同じに作っているけれども、やっぱり違いが出るものなんですよ」
『無化調』とはよく聞く言葉ですが、それを使わないラーメンは、とても繊細なものなのですね。
「なんというか、ウチは普通のラーメンを淡々と作っている、それが逆に売りだと思っていますよ」
というマスターの話からは、一杯に対する自信が伝わってきました。
確かに「しょうゆベースではあるけれど、単なるしょうゆラーメンとはちょっと違う」という感じ。その複雑な味と香りを最後まで楽しめる味だと思います。
ビッグレースなどで来場者が多いときは、それに対応する準備をして少しでも短い時間で提供できるようにしているとのこと。そのあたりにも旧盛岡競馬場から営業しているという円熟の技術がいかされているのでしょう。
浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。
※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。
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