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川崎記念~名古屋大賞典(第88回)
川崎記念JpnⅠ
抜群のスタートを切ったオールブラッシュは、内のケイティブレイブを制してハナを主張しました。強気で逃げたのがよかったと思います。道中はまったくのマイペース。3コーナーから全体がペースアップしましたが、ルメール騎手はがっちり押さえたまま。4コーナーまで脚を溜められたので、直線で後続を突き放しました。全体の流れがあまり速くはならない中で、勝因はルメール騎手のペース配分でしょう。好騎乗でした。実績断然のサウンドトゥルーは、直線で追い込みましたが2着でした。テンに行って伸びる馬ではないので、後方からとなったのは仕方ないと思います。ゴール前で持ち味の末脚は発揮しているので、今回は勝ったオールブラッシュのルメール騎手にうまく乗られたということでしょう。JBCクラシック、チャンピオンズカップ、東京大賞典と、強いメンバーと対戦してきましたから、その反動もあったかもしれません。
中央勢では人気のなかったコスモカナディアンが3着でした。道中の位置取りは6番手でしたが、先行集団のすぐうしろ。3~4コーナーではコースロスのないラチ沿いをぴったりまわってきました。接戦の3着争いで先着できたのは、その差だったとと思います。
ミツバは、1周目のスタンド前でペースが落ち着いたところで仕掛けていきました。この馬の競馬はしていたと思います。
2番人気に期待されたケイティブレイブは5着でした。オールブラッシュにペースを握られて、この馬の流れにはならなかったようです。
エンプレス杯JpnⅡ
ワンミリオンスにとっては、ペースが落ちたスタンド前で、ヴィータアレグリアが行ってくれたことで絶好の流れになりました。4コーナー手前でヴィータアレグリアをらえると2馬身差をつけての勝利。着差以上に強い内容でした。リンダリンダは絶好のスタートから一旦はハナに立ちましたが、下げて好位につけました。内で控えて、ヴィータアレグリアが進出してからは3番手。4コーナーを回って外に持ち出して、前半に脚を溜められたぶん、ゴール前で伸びて2着に入りました。吉原寛人騎手の好騎乗でした。
ヴィータアレグリアはスタートしてすぐ、ペースが落ち着いた1周目の3コーナーあたりでは掛かるようなところがありました。スローになったスタンド前で一気に先頭に立ちましたが、森泰斗騎手のこの判断は良かったと思います。4コーナーあたりでも手ごたえは楽でしたが、追い出されてからの力が勝ち馬とは違いました。
ポッドガゼールは、好スタートから3番手を追走しましたが、スタンド前では好位のうしろに位置取りを下げました。前走TCK女王盃でも直線追い込んで来て4着だったように、終いに切れる脚がありますから、直線の長い大井のほうが持ち味を発揮します。この馬にとっては、もっとペースが速くなったほうがよかったかもしれません。
ダイオライト記念JpnⅡ
クリソライトは、マイネルトゥランを行かせて2番手につけました。行く馬がいれば行かせて、自分は2番手でも3番手でも、相手を見ながらというスタート後の出方でした。緩みのないやや早目のペースで縦長の展開になって、マイネルトゥランがペースをつくってくれたことで、クリソライトはレースがしやすかったと思います。2番手で抑えきれないような手応えで、あとはどこで交わしにかかるかというレースでした。3コーナーあたりで抜群の手応えのまま先頭に立つと、そのまま後続をちぎってしまいました。この条件で、このメンバーでは能力が違いすぎました。ユーロビートは、もともと終いに賭ける脚質ですから、前の中央4頭からは離れた5番手をマイペースでの追走でした。今回は無理にクリソライトを負かしに行かず、持ち味の末脚を発揮させる競馬に徹したことが、2着という結果につながりました。そのあたり、この馬に吉原寛人騎手は何度も乗っているのでわかっていたのでしょう。
前走大井の金盃で2着だったウマノジョーは、今回もユーロビートに続いての3着でした。こちらもマイペースに徹して中団よりうしろから、前の中央勢が飛ばしてレースが流れたぶん、最後に脚を使って持てる力を発揮したと思います。ただ、クリソライトからは6馬身+5馬身の差ですから、能力の差はあります。
名古屋大賞典JpnⅢ
今回、ケイティブレイブには福永祐一騎手が初騎乗でした。外枠からドリームキラリも行く気を見せましたが、ケイティブレイブのほうが内枠ですから、1周目の3~4コーナーでは譲らず先頭に立ちました。ここでハナを主張したのが、ひとつ勝因でしょう。この馬はマイペースで逃げたときに強い競馬をします。しかも今回は直線の短い名古屋コースですから、それも考えての先行策だったと思います。ピオネロは中団を追走していましたが、2周目の向正面に入って一気に進出しました。直線の短いコースですから、早目に仕掛けて行って正解です。戸崎騎手の好判断での2着確保だったと思います。
カツゲキキトキトは前半、前2頭とは離れた3番手からの追走でした。これはいい判断だったと思います。そして3コーナーで追い出しを我慢したぶん、直線での伸びにつながっての3着でした。ただ3コーナー過ぎで、バテたドリームキラリが下がってきたときに行き場をなくす場面があり、さらに位置取りを下げてしまいました。ゴールでの勝ち馬との差が2馬身ほどでしたから、それがなければもっときわどい勝負になっていたかもしれません。
川崎意念を勝ったオールブラッシュは、59キロを背負っていたとはいえ、勝負どころから追走に一杯で、見せ場がありませんでした。
佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。