浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

さきたま杯~マーキュリーカップ(第84回)

さきたま杯JpnⅡ

 ソルテは吉原騎手がスタートから気合を入れてハナを主張しました。内の4番枠に入ったのもよかったですし、コーリンベリーが外枠だったので、無理なくハナを取れました。4コーナー手前でベストウォーリアに並びかけられましたが、直線で振り切りました。6歳になっていよいよ力をつけてきた感じです。無理せず余裕のあるローテーションで大事に使われているのも、ここまで強くなった要因でしょう。
 ベストウォーリアは4コーナーでソルテをとらえましたが、追い比べとなって離されました。56キロ(ソルテ)と58キロの差はあったと思います。この馬自身は精一杯、力を発揮しました。
 ホワイトフーガはスタートで躓いたのが残念でした。それでも牡馬相手で5着ですから、よく走っていると思います。
 コーリンベリーは外枠もあってソルテの2番手からになりました。3コーナー過ぎで手ごたえが怪しくなって後退してしまったのは、牝馬で56キロを背負ってということもあったかもしれません。

帝王賞JpnⅠ

 クリソライトが競りかけられることもなく予想通りハナに立っての平均ペース。コパノリッキーは3番手につけました。向正面で少し行きたがっていたこともあって、武豊騎手は3コーナー過ぎで一気に先頭に立ちました。馬と喧嘩するくらいならと、馬の行く気にまかせて行かせたんだと思いますが、それで正解でした。直線では後続を突き放して、ノンコノユメにも差を詰めさせませんでした。3着のサウンドトゥルーにはさらに大きな差がついて、それにしても今回は強いレースをしました。
 ノンコノユメのルメール騎手は、この流れでは後ろから行ったら届かないと思ったのでしょう。3コーナー過ぎでは先行勢の直後、6番手あたりまで早めに位置取りを上げてきました。最後、伸びてはいますが、早め先頭のコパノリッキーに36秒1で上がられてしまっては、さすがに追いつけません。この馬のレースはしていると思います。
 ホッコータルマエは今回も抜群のスタートでした。4番手あたりまで控えますが、この日の馬場状態(不良)なら逃げてしまってもよかったのではないでしょうか。4コーナー手前でコパノリッキーを追いかけたときには、すでに追走に一杯でした。

ジャパンダートダービーJpnⅠ

 勝ったキョウエイギアは青森産です。道中は人気のゴールドドリームと併走していましたが、4コーナー手前から前を追いかけると、直線では一気に先頭のケイティブレイブをとらえて突き放しました。追い出しを我慢したのもよかっですし、終いの脚が際立っていました。大井の長い直線は、この馬には向いていたと思います。
 予想通り逃げたのはケイティブレイブでした。4コーナーで後続との差を広げた時は逃げ切るかと思いました。マイペースの逃げで、人気2頭を振り切って、武豊騎手は完全に勝ちパターンに持ち込んでいたので、これで負けたのでは仕方ありません。
 ゴールドドリームは直線で案外伸びませんでした。4コーナー手前で一杯になってしまったストロングバローズもそうですが、1、2着馬が前走から間隔をあけていたのに対して、ユニコーンステークスを使って何らかの反動があったのかもしれません。今回は2頭とも力を発揮できませんでした。
 バルダッサーレの吉原騎手は、3コーナー手前から動いていって、勝ちに行くレースはしましたが4着でした。タイム的には、東京ダービーの勝ちタイムからコンマ1秒遅いだけで、力は出し切っていると思います。

マーキュリーカップJpnⅢ

 ストロングサウザーは、外目の中団を追走していましたが、3~4コーナーで内に入れてきました。この日は馬場の内側が重かったようで、ラチ沿いをかなり空けてのレースとなりましたが、4コーナーで内を回った馬に対して、外を回った馬は馬場状態以上に距離のロスが大きかったと思います。内を狙った田辺騎手は好騎乗でした。
 タイムズアローは内の3番手、絶好の位置につけて、真島騎手は落ち着いて乗っていました。8歳ですが、まだまだ力のあるところを見せました。
 マイネルバイカはゆったりしたペースの逃げに持ち込んで、直線でもよく粘りました。結局上位3頭は、4コーナーで真ん中より内を回った馬でした。
 ユーロビートは4コーナーで大外を回りました。内を回った馬とは、3馬身か4馬身くらいロスがあったと思います。勝つまではともかく、2着争いは接戦でしたから、外を回したぶんが残念でした。
 1番人気の支持を受けたケイアイレオーネは無理なく2番手を追走していましたが、4コーナーで一杯になってしまいました。大井での2連勝は楽な相手との対戦ということもあったと思いますが、それにしも今回は残念でした。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。