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2016年6月1日(水) 浦和競馬場 1400m

好スタートから圧巻の逃げ切り
グレード初制覇で目指すはJpnⅠ

 ソルテの勢いが止まらない。JRA所属の4頭すべてがGⅠ/JpnⅠ馬という豪華メンバーが揃った今年のさきたま杯JpnⅡだが、その実績馬たちを一蹴。前走かしわ記念JpnⅠ・2着の好走に続き、大井生え抜きのソルテが地方競馬ファンの胸を熱くさせた。
 締め切り直前までソルテが1番人気の支持を集めていたが、最終的にはマイルJpnⅠ・2勝の実績を誇るベストウォーリアが逆転し、単勝2.4倍。ソルテは2番人気で2.6倍となった。昨年のJBCスプリントJpnⅠの覇者で東京スプリントJpnⅢを快勝した5歳牝馬のコーリンベリーが3番人気で3.6倍。昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠの勝ち馬、4歳牝馬のホワイトフーガが6.9倍と続き、4頭に人気が集中していた。
 ゲートが開くと、好スタートを切ったソルテが先手を主張した。「内枠を引いたので逃げようと思っていました。2、3歩目には周りに馬がいなくて楽に行けました」と吉原寛人騎手。逃げると予想されていたコーリンベリーは、外枠から無理をせず2番手に控えた。好位にサトノタイガー、ベストウォーリアが追走し、ドリームバレンチノやホワイトフーガは先団を見ながらレースを進めていた。
 4コーナーでコーリンベリーが後退すると、代わってベストウォーリアが外からじわじわと上がっていった。しかし、直線に入るとその差を広げたソルテ。そのまま一度も並ばせることなく、ベストウォーリアに1馬身半差をつけて先頭でゴールイン。鮮やかな逃げ切り勝ちを披露した。
 ベストウォーリアの戸崎圭太騎手は「スムーズなレースができましたが、勝った馬が強かったですね。斤量2キロ差もあったと思います」とコメントを残した。
 3着には9歳のドリームバレンチノ、4着に地元浦和の8歳馬サトノタイガーが食い込み、ベテラン勢が意地を見せた。
 レースから戻ってきた吉原騎手は、「強い」と一言。直線を向いたところでは陣営も勝利を確信していたほど完勝というレース内容だった。「手応えも十分だったので大丈夫だと思いました」(吉原騎手)。「先に戸崎騎手の手が動いたので、よし勝った!と思いました」(寺田新太郎調教師)。これで重賞9勝目、ダートグレード初制覇を飾ったソルテ。さきたま杯JpnⅡでは、2011年ナイキマドリード以来3頭目となる地方所属馬の優勝。2016年のダートグレードレースでは、地方所属馬の初勝利となった。
 4歳時、悔しい結果が続きながらも地道に力をつけ、5歳の春にその能力が花開き、6歳の今年にかけて南関東の重賞6連勝。古馬になって初めて挑んだダートグレードかしわ記念JpnⅠでは、中距離戦線の錚々たるメンバーを相手に逃げ粘って2着と好走。そしてスプリンターを相手にした今回のさきたま杯JpnⅡを快勝した。戦った相手を考えると、相当に価値のある勝利といえるだろう。これまで培ってきた経験と実力は、ダート界のトップのところまできている。
吉原寛人騎手
ここは勝てるチャンスだと思っていました。得意な馬場でしっかり結果を出せましたね。スタートからもう少し絡まれるかなと思いましたが、意外にも1~2コーナーをゆっくり回れて息も入れられました。斤量2キロ差は大きかったですが、ジーワンを勝つためにはこれで負けるようじゃ話になりませんから。
寺田新太郎調教師
前走からあまり間隔がなかったので心配しましたが、馬も大人になって回復も早くなっているようです。道中は楽に走っていましたね。もっと着差がつくかと思いました。次走はサンタアニタトロフィーを考えていますが、斤量との兼ね合いですね。暑さに強くないので気候と相談しながらになります。


 ソルテの今年の最大目標は、川崎1400メートルが舞台となるJBCスプリントJpnⅠだ。「身も入って充実しています。以前のように直線で甘くなるところもなくなりました。あとは、状態をしっかり維持してジーワンに挑みたいですね。今日の強い勝ち方なら、当然期待してもいいでしょう」と吉原騎手は力強く語った。陣営とファンの想いを背負ったソルテは、一歩一歩着実に夢へと近づいている。

取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)