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全日本2歳優駿~TCK女王盃(第87回)

全日本2歳優駿JpnⅠ

 好スタートを切ったリエノテソーロは、一旦先頭に立ちかけましたが、今回は意識して下げたのでしょう。4番手からの追走で、道中でも余裕がありました。3コーナーでは外のメイソンジュニアが後退したので、4コーナー手前ではうまく外に持ち出して、直線ではあっという間に突き抜けました。今回は前に馬を置いての競馬で、こういう競馬ができればまだまだ強くなりそうです。
 2着のシゲルコングは外に逃げるような感じのスタートでしたが、馬が行く気になって一気に先行集団に取り付きました。直線の追い比べではちょっと首が高い感じだったので、それが修正できればさらに強くなると思います。
 逃げたのは兵庫ジュニアグランプリを勝ったローズジュレップでした。直線を向いて手ごたえが一杯になったように見えましたが、最後までよく粘りました。2着のシゲルコングからは1馬身半差の3着、そして4着のヒガシウィルウィンには4馬身差をつけましたから、あらためて中央の一線級とも互角に戦える力を見せました。

名古屋グランプリJpnⅡ

 2番手をを追走したアムールブリエは、逃げたケイティブレイブを相手と見ての競馬でした。最後の4コーナー手前で一気に差を詰めました。道中ゆったりレースが流れる長距離では、無理せず好位を追走できるので、相当な力を発揮します。ペースアップしたところでもそれほど離されることなくついていけたのもよかったと思います。
 逃げたケイティブレイブは、2周目の向正面でペースを上げました。後続との差を広げたところでは、このまま逃げ切ったかと思いましたが、3コーナーを回ったところでバテてしまいました。ちょっと飛ばしすぎたかもしれません。武豊騎手にしてはめずらしいレース運びでした。もう少し引きつけての逃げでもよかったかもしれません。
 カツゲキキトキトは流れに乗って5番手のいい位置を追走していました。強気に負かしに行こうという競馬ではなく、自分の能力を発揮させようというレースをしての3着好走だったと思います。

東京大賞典GⅠ

 アポロケンタッキーは、アウォーディーの直後でピタリとマーク。内田博幸騎手は、早め早めに行ったのがよかったと思います。素晴らしい騎乗でした。内田騎手はこの馬には初騎乗でしたが、見事にそれが当たりました。
 アウォーディーは2着でしたが、どこが悪かったということはありません。この馬なりには走っていると思います。この秋は、日本テレビ盃(1着)、JBCクラシック(1着)、チャンピオンズカップ(2着)と使ってきて、ここが4戦目。激走が続いたのでその反動もあったのかもしれません。GⅠを中心に使われる馬は、もう少しゆったりしたローテーションで使ったほうがいいと思います。今回は、大目標だったチャンピオンズカップで目一杯仕上げられたあとだったからということもあったかもしれません。
 サウンドトゥルーもしぶとく3着に入りました。今回は直線で瞬発力勝負になって、それがうまくハマったのがアポロケンタッキーで、サウンドトゥルーの持ち味が生きる展開にはなりませんでした。
 コパノリッキーは、スローの逃げに持ち込みましたが、直線半ばで反応がなくなってしまいました。この馬は逃げるにしてもあまり溜めて逃げるより、もっと馬に任せて行かせてしまったほうがいいのかもしれません。久しぶりの騎乗となった戸崎騎手は、ガッチリ抑えて乗るのはうまいですが、今回はもっと行かせてもよかったと思います。今回はこの馬の能力は発揮していません。

TCK女王盃JpnⅢ

 勝ったワンミリオンスは、4コーナーではバテて下がってきた2頭を捌いて、内のいいところを抜けて追い比べに持ち込みました。このあたり、戸崎くんはうまく乗っと思います。3頭の争いとなってわずかに抜け出しましたが、4コーナーで内をまわったぶんの差だったかもしれません。
 リンダリンダは3番手の外目、いい位置を追走しました。4コーナーから直線で一旦は先頭に立って、初騎乗の吉原騎手は積極的なレースをしました。最後は、勝ったワンミリオンスに3/4馬身差でしたが、馬がかなり充実してきたようです。
 ホワイトフーガは、やはり道中で行きたがるところがありました。集団の中に入れればよかったのかもしれませんが、外目の追走だったので、そうした気性的な部分が出たのかもしれません。追い比べになって勝てなかったのは、2頭より3キロ重い58キロという斤量もあったと思います。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。