直線独り舞台となって3連覇達成
大井・渡邉厩舎も2・3着に健闘
3年目に突入した船橋競馬場のハートビートナイター。幕開けを告げる今開催のビッグレースは、62回目を迎えた伝統の一戦ダイオライト記念JpnⅡ。武豊騎手がエスコートした1番人気クリソライトが3連覇をかけて挑み、他馬を子供扱いするかのような圧巻の内容で優勝した。3年前には日本テレビ盃JpnⅡも制しており、船橋競馬場との相性の良さも見せた。そしてこの日が48回目の誕生日だった武騎手は、駆け付けた多くのファンから盛大な祝福を受けていた。レースは中央勢が先行した。3連勝中で重賞初挑戦となった2番人気マイネルトゥランが大外から一気に先頭に立って後続との差を広げると、マイネルバイカが続き、クリソライトは3番手、すかさずグレナディアーズが追走。地方勢は離れた位置からレースを進め、縦長の展開となった。
「いいスタートを切ってくれましたが、枠が内目だったので、他の馬の出方次第でした。道中は手応えがよすぎて折り合いを欠くくらいの行きっぷりでしたが、この舞台はとても合っているので強気な競馬でも大丈夫だろうと思いました」(武騎手)。
クリソライトは1周目のスタンド前では2番手に上がり、3コーナー付近でマイネルトゥランの手が動くと、それを横目に抜群の手応えで先頭に躍り出て、あとは独り舞台。後続との差をグングン広げ、2着のユーロビートに6馬身差をつける堂々たるパフォーマンスだった。2400メートルの勝ちタイムは2分37秒8(重)。
勝ったクリソライトは、ダイオライト記念JpnⅡ史上初の3連覇を達成。遡れば、3歳時にジャパンダートダービーJpnⅠで重賞初挑戦での勝利を飾り、毎年のように重賞タイトルを積み重ねた。昨年には藤井勘一郎騎手とのコンビで韓国に遠征しコリアカップ(韓国GⅠ)も制した。7歳になった今年もまったく衰えを見せず、いや、さらにパワーアップしている印象で、5年連続5つ目のダートグレードタイトル奪取となった。
「秋はまた韓国遠征をさせたいので、それまでどんな予定を組んでいくのかは模索中です。馬が若くて年齢を感じさせないので、来年(ダイオライト記念)4連覇を狙いたいです。3年連続で休み明けだったんですが、いい状態で送り出さなければいけないし、難しさはありますが、やりがいもあって面白いです。まだまだやれるのはわかりました」と音無秀孝調教師も満面の笑みを浮かべていた。
一方、地方勢も奮闘し、前走の金盃でワンツーを飾った2頭がここでも魅せた。2着には吉原寛人騎手のユーロビートが中央勢相手に意地を見せ、3着には後方からメンバー中一番の上がりで追い込んできた山本聡哉騎手のウマノジョーが入った。2頭ともに大井の渡邉和雄厩舎の外厩馬として、ミッドフェイファームでトレーニングを積んでいる。
「ユーロビートもゆったりしたコースで力を発揮することを改めて見せてくれましたし、ウマノジョーもユーロビートと1キロ差で脅かす存在になって、成長していますね。まだまだ伸びしろはあると思います」(渡邉調教師)。
今後もダート長距離の舞台ではユーロビートとウマノジョーのコンビから目が離せない。
武豊騎手
3連覇を達成できてホッとしました。(追い切りは重めに感じたようですが)スタッフがきっちり仕上げてくれて、昨年に比べてもすごくいい状態でした。今回は過去2年よりも強さを感じて、馬はまだまだ元気なので楽しみです。(誕生日の勝利で)さらに年を重ねましたが頑張っていきます。
音無秀孝調教師
船橋競馬場は何回も来て慣れているし、馬もわかっている感じで落ち着いていました。昨年はハナにいったのでそれもあるのかなと思いましたが、今年は前に行く馬たちがいたので下げる形になりましたね。競っていくと脚をなくしてしまうのでいい判断だったと思います。乗り方は豊君にまかせっきりです。