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エンプレス杯~名古屋大賞典(第94回)
エンプレス杯JpnⅡ
アンジュデジールは、スタートダッシュはあまり良くありませんでしたが、1番枠だったので無理せず3番手、好位の内につけることができました。道中もずっといいところを通って、3コーナー過ぎではほかの馬たちが追い出しているのに、アンジュデジールだけは手ごたえが楽でした。4コーナーまで楽なままの追走で、追い出しを我慢したぶん、ゴール前の伸びにつながりました。横山騎手は中央のレースでも、追い出しを我慢して、最後に脚を使うというレースをよく見ます。1番人気のプリンシアコメータは、2番手につけて、4コーナー手前から鞍上の手が動き始めていました。斤量が55キロのわりには思ったほど伸びませんでした。
6番人気のサルサディオーネが3着に入りました。思い切って逃げたのがよかったと思います。それほど速いペースにならなかったため、ゴール前まで粘ることができました。
ラインハートが4着に食い下がりました。笹川騎手は内々を回ってきてうまく乗っていました。
黒船賞JpnⅢ
スタート後は3頭の先行争いとなって、グレイスフルリープの武豊騎手は、何が何でも行くつもりだったようです。内のコパノマイケルを行かせて、流れが落ち着く2コーナーあたりからハナを取りに行ってもよかったのではないでしょうか。映像には映っていませんが、1コーナーを回るところでコパノマイケルが回りきれず、グレイスフルリープも外に振られる場面があったようです。道悪を意識しての逃げでしょうが、ちょっとペースが速すぎました。勝ったエイシンヴァラーは、先行争いの前3頭を先に行かせて、スタート後の直線から楽に追走していました。3番手の内につけて、下原騎手は落ち着いて乗っていました。3~4コーナーあたりからかなり追っていたのでどうかと思いましたが、最後までよく伸びました。先行して、終いの脚も使えるので、強いメンバーが相手でも活躍が期待できそうです。
キングズガードは4コーナーを回るところで一瞬行き場を失い、内に切り替えるロスがありました。砂が重くても内は正解だったと思います。外に持ち出していれば2着はなかったでしょう。
ブルドッグボスは向正面から追い通しでしたが、直線を向いて先頭に立って、勝ったかという場面がありました。前が飛ばしてのハイペースを、うまく流れに乗っていました。勝ったエイシンヴァラーもそうですが、ブルドッグボスの岩田騎手もうまく乗って力を発揮したと思います。
名古屋大賞典JpnⅢ
サンライズソアは、スタートして少し仕掛けただけで楽にハナをとることができました。1コーナーを回るところで外に膨れて、肩ムチを入れて修正する場面がありましたが、落馬した空馬が外ラチのほうに行ってしまったので、それを気にしたのかしれませんし、単独で先頭に立ったので、まわりを気にしてしまったのかもしれません。ペースがそれほど速くはならなかったので、最後は押し切りました。頭が高い走りをするので乗りづらそうですが、今回は逃げたのがよかったと思います。ミツバは中団馬群の中を追走して、ペースが遅かったので向正面で外に出して仕掛けていきましたが、そのあたりで前もペースアップしたので、なかなか前をとらえることができませんでした。それでも最後は半馬身差まで迫りました。早めに3、4番手の外目につけられれば結果は違っていたかもしれません。
結果的に1、2番人気の決着で、この2頭は能力が1枚上でした。1、2着は展開次第で変わっていた可能性はあります。
カツゲキキトキトは2番手につけましたが、道中で掛かる場面がありました。直線では後退してしまいましたが、1、2着馬とは力の差もありました。
佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。