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全日本2歳優駿~川崎記念(第93回)

全日本2歳優駿JpnⅠ

 ルヴァンスレーヴは少し出遅れて後方からになりました。それでもデムーロ騎手は余裕があったのか、道中は抑えたままでの追走でした。直線を向いて、前をとらえようかというあたりではフラフラして、まだ遊んで走っているようです。内に切れ込んだときは少し危ない場面もありました。ただ、この馬はモノが違いますね。勝ち時計の1分41秒6は速いです。最後はドンフォルティスに1馬身差まで詰められましたが、余裕がありました。普通にスタートを切っていれば、3馬身か4馬身くらい差をつけて圧勝だったのではないでしょうか。
 ドンフォルティスもスタート直後は最後方に近い位置でした。徐々に位置取りを上げて、中団うしろの8番手あたりから。武豊騎手はじっくり行きました。3コーナーあたりでは立ち上がって危ない場面がありましたが、直線ではよく伸びて、よく2着まで来たと思います。
 ハセノパイロは、前2頭が飛ばして先行したところをやや離れた5番手の内目、いい位置を追走していました。最後の3着争いは接戦でしたが、よく残りました。まだそれほどレース数を使ってないので、これからよくなるでしょう。

兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢ

 グレイスフルリープは外枠に入ったのがよかったです。好スタートを切って、まわりの出方を見ながら、行く馬がいれば控えてと考えていたでしょう、外の2番手につけてました。おそらく逃げようと思えば逃げられたと思います。楽なままの追走から3コーナーで先頭に立っているので、まったく危なげのない勝ちっぷりでした。
 ラブバレットは4番枠からのスタートで、抑えていって外に持ち出しました。この馬も外枠のほうがよかったと思いますが、内目の4番枠だったので、外に持ち出すまでにコース取りのロスがあり、位置取りを下げてしまいました。そして向正面でペースが上がると、前にとりつくまでに脚を使ってしまいました。直線でも伸びてはいますが、勝ち馬とは脚色が同じになってしまいました。外枠に入って好位につけられれば、もっときわどいレースになったかもしれません。

東京大賞典GⅠ

 コパノリッキーは、思い切って逃げたのがよかった。最初のゴール板あたりまではケイティブレイブと競り合いになったので、テンのペースはやや速くなりました。それでもスピードの違いで、ケイティブレイブが控えてくれたので、コパノリッキーのペースになりました。上がり3ハロンも37秒1は優秀です。テンのスピードがあって、これだけのタイムで上がられたのでは、後続勢はかないません。この馬は、やはり逃げるか2番手、前に行ってこそでしょう。それにしても丈夫な馬で、ジーワン11勝は、よく走ったと思います。
 サウンドトゥルーもよく追い込みましたが、届きませんでした。4コーナーあたりではまだ差のある中団あたりでしたから、コパノリッキーにあの上がりの脚を使われたのでは仕方ありません。
 ケイティブレイブもハナをとるつもりで行ったと思いますが、コパノリッキーのスピードにはかないませんでした。
 ヒガシウィルウィンは、もう少しやれるかと思いましたが8着。走破タイムが2分6秒ちょうどで、勝ち馬からは1秒8の差がありました。2着だった浦和記念が初めての古馬との対戦で、そのときとはメンバーのレベルが格段に上がっているので、しかたありません。強くなるのはこれからでしょう。

川崎記念JpnⅠ

 ケイティブレイブは、ほかに行くような馬がいませんでしたから、逃げて正解です。スタンド前ではペースを落として、福永騎手はいいペースでレースを進めました。やはりこの馬はマイペースで逃げてこそです。今回は完全にケイティブレイブのレースになりました。5歳ですから、今年、いくつジーワンが勝てるか楽しみです。
 アポロケンタッキーは積極的に2番手に行きました。行ければハナへというつもりだったかもしれません。この日はパドックでも抜群によく見えました。ケイティブレイブの直後で突いていく形で、終いもよく伸びています。この馬もまだ6歳ですから、まだまだ強くなりそうです。
 アウォーディーはスタートで少し遅れました。3番枠だったので、グレンツェントがつけた位置(3番手の内)をとれればよかったのですが、スタートで後手を踏んだぶん、外からほかの馬に来られて、下げることになってしまいました。さらにすぐ前の外にはメイショウスミトモがいて、向正面から3コーナーの勝負どころでも動くに動けませんでした。進路ができたのは4コーナー手前で、ようやく外に持ち出すことができました。直線ではしっかり脚を使いましたが、今回は道中の位置取りの差でした。
 サウンドトゥルーは思ったほど伸びませんでした。今回は能力を発揮していません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。