dirt
2017年12月27日(水) 園田競馬場 1400m

2番手追走から早め先頭で押し切る
岩手から参戦のラブバレットは2着

 発達した低気圧の影響で、北陸から北の日本海側を中心に天気は大荒れ。それに伴う強風と高波の影響で、門別から遠征予定だったオヤコダカとストーンリバーが移動できず、出走取消を余儀なくされた。また、タイセイバンデットは馬体故障によって出走取消。北海道からの3頭が不在になったことで、兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢが創設されて以来、最少タイとなる9頭立てで行われることになった。
 このレースは2007年からハンデ戦。過去16回の優勝馬はすべてJRA所属馬だが、最近は負担重量が軽くなることが多い地方所属馬が上位に食い込むケースが多くなっている。今年はJRA所属の4頭は57キロ以上だが、地方所属馬はすべて54キロ以下。それもあってか、最終的にはサイタスリーレッドが単勝1番人気になったが、パドック周回中に岩手のラブバレットが同じオッズで並ぶ時間もあった。
 気温5度、そしてやや強めの風が吹くなかゲートが開くと、サイタスリーレッドが先手を取りに行った。2番手にはグレイスフルリープがつけて、続いてトウケイタイガーとエイシンヴァラーの地元勢。ラブバレットはスタートダッシュがいまひとつで、5番手からとなった。
 2コーナーを過ぎても馬順は変わらなかったが、向正面の中間付近からラブバレットが上昇を開始していった。それと同時にペースが上がり、3コーナーに入るとグレイスフルリープが先頭に立って、ラブバレットは2番手に。サイタスリーレッドは手応えが怪しくなり、6番手にまで下がってしまった。
 4コーナーではグレイスフルリープとラブバレットの一騎打ちかという様相にも見えたが、グレイスフルリープには余裕があったようで、ゴール地点では1馬身半の差をつけて押し切り勝ち。ラブバレットは最後に突き放されてしまったが、それでも2着は守り通した。2着馬からクビ差の3着には、サイタスリーレッドが再び加速してきて食い込んだ。
 グレイスフルリープは前走よりもプラス12キロで、自身の最高馬体重での出走だった。「正直、ちょっと増えすぎかなという感じはありました。でも返し馬の雰囲気がとても良かったので、レースは安心して見ていられました」と、橋口慎介調教師はコリアスプリント(韓国GⅠ)に続く重賞勝利に笑顔で話した。
 対照的に、ラブバレット鞍上の山本聡哉騎手は「向正面からの脚は良かったのですが、前半が自分のリズムではなかったですね」と、表情は冴えなかった。それでも地方競馬のダートグレードでは6戦連続で5着以内。またチャンスは巡ってくることだろう。
 サイタスリーレッドは戸崎圭太騎手が首を傾げながら「3コーナーで気の悪さを出してしまいました」とコメント。4着のレーザーバレットは岩田康誠騎手が「向正面での手応えがとても良くて、これなら直線で間に合うと思ったのですが」と、悔しそうにしていた。
 表彰式ではグレイスフルリープの手綱をとった武豊騎手に、ファンからたくさんの声援が贈られた。司会進行の竹之上次男アナウンサーも「この人が表彰台に立つと華やかさが違います」と添えた。有馬記念GⅠの勝利から中2日。武豊騎手の巧さが光った一戦でもあった。
 
武豊騎手
レース前は2番手か3番手がベストかなと思っていましたので、ポジション的には絶好でした。スタートダッシュもつきましたし、道中もいい感じだなと思いながら乗っていました。4コーナーでは別の馬に並ばれそうになりましたが、迫ってきたらまた伸びるという感じの手応えがありました。
橋口慎介調教師
スタートして好位にとりつけられたのは、最近2走が短距離戦だったからでしょう。前走のカペラステークスは9着でも砂をかぶる競馬で僅差でしたし、韓国で重賞を勝っていちだんと成長したように感じます。来年は8歳になりますが、コリアスプリント連覇、そしてJBCを狙っていきたいと思います。

岩手から参戦のラブバレットが2着

取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)