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東京盃~JBCクラシック(第92回)

東京盃JpnⅡ

 勝ったキタサンミカヅキは中団からの追走で、4コーナーでもまだ10番手あたりでした。直線が長い大井コースとはいえ、そこから差し切るのですからたいしたものです。
 ブルドッグボスは外枠から先行勢を追う形で、直線を向いて先頭に立ったときは勝ったと思ったでしょう。先頭に立つのが少し早かったような気もしますが、左海誠二騎手はほとんど完璧なレースをしたので、これでうしろから差し切られたのでは仕方ありません。
 大井の1200メートルは、内枠だと包まれてしまう可能性があるので、逃げ馬でなければ外目の枠から前を見ながら追走という形が理想です。勝ったキタサンミカヅキも真ん中あたりの枠でしたが、下げて外に持ち出して中団からの追走がうまくハマりました。
 対してニシケンモノノフは、内でじっと我慢していて、直線を向くまで手応えは楽なままでした。直線では行き場をなくすような場面がありましたが、すぐに内に切り替えて伸びてきました。ただあとひと押し、伸びきれなかったのは休み明けのぶんもあったのかもしれません。

エーデルワイス賞JpnⅢ

 勝ったストロングハートはスタートダッシュもいいですし、すぐに好位の外に取り付いて、楽な手応えのまま4コーナーで前をとらえる位置まで進出してきました。ダッシュがよかったぶん、楽に好位をとることができました。それにしてもグランド牧場からは、サウスヴィグラス産駒で走る馬が次から次へと出てきます。
 グラヴィオーラは11番枠でしたが、道中は好位の内でじっと我慢していました。直線ではストロングハートの外に持ち出して、ゴール前迫りましたが惜しくも届きませんでした。この馬もよく走ったと思います。
 逃げたコスモウーノはいいペースで逃げているように見えましたが、好位から伸びて来る馬にはかないませんでした。最近は短距離戦でも逃げ切りというのは少なくなりました。

JBCレディスクラシックJpnⅠ

 武豊騎手のプリンシアコメータはブリンカーをしてハナを切って行きました。ララベルは外目の3番手、絶好位からの追走でした。直線は2頭の一騎打ちとなって、ララベルが内に寄って接触する場面がありました。ただララベルがプリンシアコメータの進路に入ったわけではなく、完全に並んでいてのことで、武騎手も押し返しているような感じですから、やはり降着にするほどではなかったと思います。ララベルは休み明けのレディスプレリュードを叩いて、今回はかなり状態が上がっていたようです。550キロもある大型馬で、いい馬体をしています。
 ゴール前迫って3着だったラインハートは後方4番手からの追走で、4コーナーでもまだ内目の中団よりうしろ。あそこから馬群をさばいて外に持ち出し、よく追ってきたと思います。これが転入初戦でしたが、南関東の重賞ならこれから期待できるのではないでしょうか。
 ホワイトフーガは馬群の中に入って今回も行きたがるような場面が何度かありました。この馬は外枠のほうがスムーズに追走できます。1800メートルでは距離も長く、今回は厳しい競馬になりました。

JBCスプリントJpnⅠ

 ニシケンモノノフは1番枠に入ったことで、スタートから気合を入れて前の位置を取りにいきました。直線では前が壁になって、一旦はコパノリッキーの外に出そうしましたが、出られるタイミングではなく、内に切り替えて伸びてきました。外に出したのではおそらく届かなかったでしょう。仕方なくというところもあったでしょうが、内を突いて正解でした。横山典弘騎手だからこそ勝てたレースだったと思います。
 コパノリッキーはスタートでダッシュがつかず、残念でした。それでも外に持ち出して3コーナー手前から位置取りを上げていきました。タイミング的には少し早かったような気もしますが、判断は難しかったと思います。この距離なので、勝ちに行こうと思えばそうなるのは仕方ありません。ゴール前では、ネロをとらえて一瞬先頭に立つ場面がありましたが、最後はニシケンモノノフに差されてしまいました。スタートで遅れなければ、もしかしてということはあったかもしれません。ただこの距離だと他の馬のダッシュ力も違いますから、あの位置からの追走になったのも仕方なかったでしょう。
 ネロは15番枠から思い切って行って、2番手を取りました。積極的な競馬で直線一旦は先頭に立って、最後はブルドッグボスにもとらえられて4着でしたが、いい競馬をしたと思います。

JBCクラシックJpnⅠ

 サウンドトゥルーは、レース前半は後方4番手から。徐々に位置取りを上げてきて、終いは切れる脚を存分に発揮しました。ペースがそれほど速くならず先行有利な流れでした。それでもゴール前、先行勢の脚色が一緒になったところを、3コーナー過ぎから追ってきて、一気に差し切ったのですから、今回は強いレースをしました。
 ケイティブレイブは、今回も中団に控える競馬で、4コーナーでは3番手まで押し上げてきていました。最後までよく伸びて、うしろから来たサウンドトゥルーに1馬身差は、惜しい結果でした。
 ミツバは早め2番手から、直線を向いて先頭のオールブラッシュをとらえにかかるという積極的な競馬で、最後まで粘って3着はよく走ったと思います。
 アウォーディーは好位の内を追走して、直線では一旦前をとらえかけましたが、最後は伸びを欠いて4着でした。今回は帝王賞以来の休み明けでしたから、次あたりはよくなってくるのではないでしょうか。
 日本テレビ盃では接戦を制していたアポロケンタッキーですが、向正面から追い通しになってしまいました。本来の調子にはなかったようです。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。