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佐賀記念~黒船賞(第100回)

佐賀記念JpnⅢ

 逃げたテーオーエナジーは、道中でややかかっていく場面がありました。それで縦長の展開となって、勝ったヒラボクラターシュは3番手を追走。3コーナーから抜群の手応えのまま前をとらえにかかりました。最後はリーゼントロックに食い下がられてクビ差でしたが、勢いからして差し返されることはなかったと思います。それにしても、急遽の乗替りとなった山本聡哉騎手は、調教師からの指示もあったでしょうが、うまく乗りました。
 リーゼントロックは2番手を楽に追走していました。4コーナーあたりでは手応え一杯に見えましたが、勝ち馬にゴール前まで食い下がりました。積極的に2番手につけて折り合ったのがよかったと思います。8歳ですが、3着のテーオーエナジーに8馬身差ですから、よく走っています。
 注目のグレイトパールは4着。向正面あたりですでに追走に一杯、今回はテーオーエナジーのやや速いペースに対応できていない感じでした。

エンプレス杯JpnⅡ

 クレイジーアクセルがハナを主張して、プリンシアコメータ、サルサディオーネと3頭が先行、4番手以下は離れて縦長になりましたから、前のペースが速く、道中もペースは緩みませんでした。そうした展開で、向正面で先頭に立ったプリンシアコメータは、ライバル2頭が3コーナーで後退したと思ったら、今度はビスカリアとミッシングリンクに来られて、次から次へとプレッシャーをかけられたので、かなり厳しい展開だったと思います。それでも直線振り切りましたから、今回のプリンシアコメータは相当強いレースをしたと思います。
 前が速くなったぶん、中団を追走して直線の脚に掛けたブランシェクールが2着に入りました。仕掛けるタイミングとしては、この馬が一番いいレースをしたと思います。吉原騎手はペースを読んでうまく乗りました。
 3番手を追走したサルサディオーネは7着。プリンシアコメータをマークする形で外につけましたが、一旦控えて内に入れて、2頭を前に見る形でレースをすれば、もっといいレースができたかもしれません。ただある程度前に行く気でしたから、勢いがついたところから一旦下げてというのも難しかったかもしれません。ずっと外々を回らされた距離損はあったと思います。

黒船賞JpnⅢ

 勝ったサクセスエナジーは3番枠からのスタートで、外から行く馬を行かせて、うまく外に持ち出しました。向正面では、逃げたサイタスリーレッドの2番手につけましたが、水が浮くほどの道悪だったので、早め早めにレースを進めたのは正解でしょう。ペースが速くなったぶん、勝ちタイムも1分26秒6という速いタイムでの決着となりました。
 ヤマニンアンプリメは、前半のハイペースを読んで中団からの追走でした。この馬も1番枠でしたが、向正面でうまく外に持ち出しています。直線よく伸びて、アタマ差まで迫りました。道悪で前が止まらなかったということもありましたから、馬場がもう少しよかったら、この馬に勝たれていたかもしれません。
 兵庫のエイシンバランサー、高知のサクラレグナムも、前2頭とは離されましたが、4着、5着はよく走ったと思います。ハイペースを読んで前半は中団から。早めに仕掛けて好位にとりついて、位置取り的にはよかったと思います。4コーナーあたりでは2頭とも抜け出せそうな勢いに見えましたが、最後、離されてしまったのは能力差でしょう。
佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。

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