サマーチャンピオン~テレ玉杯オーバルスプリント(第97回)
勝ったエイシンバランサーは好スタートでしたが控えて中団から、中央の有力馬を前に見ながらの追走でした。それでも向正面の中間から、いち早く仕掛けて行きました。直線が短いのを考えてのことでしょう。逃げたブルミラコロが直線でも先頭で粘れるペースでしたから、エイシンバランサーは向正面からのスパートで長く脚を使って、よく差し切ったと思います。上り3ハロン36秒6は見事な末脚でした。良馬場ながら、1分25秒7という勝ちタイムも優秀なタイムです。
逃げたブルミラコロは、最後まで食い下がっての2着。小回りのコースは、逃げるか、ある程度早めに好位につけないと勝負になりません。そういう意味でも、エイシンバランサーは強いレースをしました。
オウケンビリーヴは好スタートを切って、行こうと思えば先頭に行けたと思いますが、ネロを行かせて2番手に控えての追走でした。ネロをマークする形で一騎打ちになって、最後に競り落としました。軽量52キロということはありましたが、5歳牝馬でもこれからまだ強くなりそうです。
ネロは、オウケンビリーヴより外枠でも、これを制して逃げました。4コーナーからは一騎打ちとなって、一旦はオウケンビリーヴに前に出られましたが、残り100メートルのあたりで差し返しています。最後はもう一度交わされて、惜しくもクビ差で2着でしたが、この条件では強いレースを見せます。オウケンビリーヴより3キロ重い55キロということを考えれば、この馬も強いレースをしました。
ラブバレットの山本聡哉騎手は落ち着いていて、前2頭の直後を追走しましたが、直線では差を広げられてしまいました。本来の調子にはなかったかもしれません。
ノブワイルドはゲートの中で少しうるさくて心配しましたが、前を向いたときにうまくスタートきって、内枠もあって難なく先頭をとれました。もともと逃げてどこまでという馬で、道中はネロにピタリとマークされて、楽な展開ではなかったと思いますが、3コーナー過ぎから後続を振り切りにかかりました。マイペースでレースを運べれば強いレースをします。
2着のオウケンビリーヴは大外からのスタートで、あまり仕掛けてはいかず、前半は7番手あたりからの追走でした。3コーナー過ぎから前との差を詰めてきて、直線でもいい脚を使いましたが、3/4馬身届きませんでした。今回は前に行く気はなかったようですが、スタート後の直線で位置を取りに行ってもよかったと思います。長く脚を使って、最後まで伸びていますから、もう少し前にいれば差し切れたと思うと、ちょっと残念でした。
3着には、直線一気に差を詰めてきたトーセンハルカゼが入りました。4コーナー9番手から、1頭だけ上り35秒9という脚を使いましたが、人気もありませんから入着狙いでうまくいったと思います。
佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。