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東京盃~北海道2歳優駿(第98回)

東京盃JpnⅡ

 キタサンミカヅキは今回内目の4番枠ということもあって、外には持ち出さず内を通って、しかも前目につけて行きました。これまでは前半あまり積極的には行かず、外を回って後半勝負のレースをしていましたが、今回は森泰斗騎手の判断が光りました。最後はマテラスカイとネロの間、狭いところから抜け出しましたが、馬も強かったし、鞍上もうまく乗ったということもありました。8歳でも一線級相手に堂々のレースぶりは、たいしたものです。
 ネロは逃げたマテラスカイをマークする形で2番手につけていって、ゴール前で一旦抜け出しました。完全に勝ちパターンのレースでした。内を掬われたのは残念でしたが、今回は勝ったキタサンミカヅキを褒めるべきでしょう。
 東京スプリントを勝っているグレイスフルリープも最後は差を詰めてきて3着。どの馬も能力を発揮した、いいレースでした。

レディスプレリュードJpnⅡ

 勝ったプリンシアコメータは好スタートから3番手の絶好位につけていきました。4コーナーで、逃げているニシノラピートをとらえるまで手応えは楽なままでした。モレイラ騎手だけでなく外国人騎手には多いのですが、道中は手綱を短く持って、拳を馬の首のところにグッと押し付けています。そうすると折り合いがつけやすくなります。そして追ってからも手綱が緩みません。日本の騎手は長手綱で手を浮かしてしまう人もいますが、こういうところは見習ったほうがいいです。簡単に真似できることではありませんが。そしてモレイラ騎手はゴールに入ってからも騎乗姿勢を崩しません。日本ではゴールすると立ち上がってしまう騎手が多いですが、これも見習ったほうがいいと思います。
 2着のブランシェクールは5番手から。4コーナー手前あたりから追い通しでしたが、それでもゴール前まで脚を使ってよく差を詰めたと思います。
 3着に入ったアルティマウェポンはスタート後は後方2番手でしたが、ラチ沿いを通って位置取りを上げてきました。4コーナーから直線に入ってもずっとラチ沿いで、直線半ばを過ぎてようやく外に持ち出しました。真島騎手の好騎乗で3着に入ったと思います。

エーデルワイス賞JpnⅢ

 アークヴィグラスは、まずスタートがいい。16頭立ての大外枠でもすぐに好位につけました。短距離戦では、包まれる心配がないので、むしろ外枠はよかったと思います。外枠でスムーズにレースを進めることができました。石川倭騎手は手綱を緩めずに乗っていて、追ってからの姿勢が崩れないのもいいです。
 デンバーテソーロは、ゴール前よく追い込んできましたが、負けたのは道中で置かれぎみだったぶんです。勝ち負けは16番枠と15番枠で、道中の位置取りの差は大きかったと思います。

北海道2歳優駿JpnⅢ

 ウィンターフェルはスタートでつまづきましたが、すぐに立て直しました。じわじわと位置取りを上げて、レースの序盤で好位につけられたのはよかったと思います。4コーナー手前あたりでも手応えは楽なままです。いつでも先頭に立てるような手応えですが、おそらく早めに先頭に立ちたくなかったのでしょう。直線に入って、逃げたイグナシオドーロに並びかけてもまだ追い出しを我慢しています。井上俊彦騎手はそのあたり馬の性質をよくわかっていて、落ち着いて乗っています。最後までなんとか気を抜かないで走ってくれというような感じです。逃げたイグナシオドーロも、ウィンターフェルに並びかけられてからよく粘りました。最後は接戦になって、結局イグナシオドーロが先着していたようですが、もしウィンターフェルが早めに先頭に立っていたら、イグナシオドーロが完全に差し返すという場面もあったかもしれません。2頭ともに全日本2歳優駿に出てくるようなら楽しみです。
佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。

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