特集
Road to JBC
第52回 東京盃 JpnⅡ
10/10(水) 大井競馬場 1,200m
キタサンミカヅキ
好位につけて内から抜け出す 見事な連覇達成で淀の舞台へ
Road to JBCの東京盃JpnⅡには、今年短距離のダートグレードを制している馬たちから、エイシンヴァラー、グレイスフルリープ、サクセスエナジー、テーオーヘリオス、マテラスカイ、エイシンバランサーが参戦。中でも注目を集めたのはプロキオンステークスGⅢをコースレコードで圧勝したマテラスカイで、単勝1.5倍と圧倒的な支持を受けた。しかし、それら実力馬をねじ伏せたのは昨年の覇者キタサンミカヅキだった。これまでとは違う展開での勝ち方を披露し、JBCスプリントJpnⅠに向け弾みをつけた。
マテラスカイが先手を取り、ネロが2番手、外にサクセスエナジー、グレイスフルリープと4頭が横に広がって先行。キタサンミカヅキはその直後の内を追走した。
直線、残り100メートルで逃げていたマテラスカイを交わしてネロが先頭に。そして内から迫ったキタサンミカヅキがその2頭の間を割って伸びてきた。ゴール前でネロをアタマ差とらえると、森泰斗騎手は力強く拳を握った。
ネロの戸崎圭太騎手は「イメージ通りの競馬でしたが、惜しかったです」とコメント。2着から1馬身1/4差の3着には外からしぶとく伸びたグレイスフルリープ。クリストフ・ルメール騎手は「外枠だったので終始外をまわる形になってしまった。でも馬はがんばってくれました。次はチャンスがあります」と前向きだった。
注目されたマテラスカイは4着。武豊騎手は「ラストで甘さが出たのは意外でした。京都コースの方が良さそうなので賞金的にJBCに行けるといいんですが」と語った。
キタサンミカヅキと森騎手がレースから戻ってくると、関係者や競馬仲間からの「おめでとう!」という声がたくさん聞こえてきた。見事に東京盃JpnⅡ連覇を達成。昨年は大外から一気に脚を伸ばす豪快な勝ち方だったが、今回の内を伸びて抜け出すというレース内容には驚かされた人も多いだろう。「先行2頭(マテラスカイ、ネロ)が同厩舎ということもあって、あまりオーバーペースにはならないかもしれないということも頭に入れて、ある程度位置を取りにいきました。外に出せるスペースがなかったので4コーナーで内に行こうと決めました。見ている人はハラハラするレースだったと思いますが自分自身は冷静で、スペースだけを探していました」と森騎手。最初の位置取りから進路選択など好判断も光ったといえよう。
京都で行われる今年のJBCは、中央勢が多数の多頭数が予想され、今回のような状況も十分あり得る。「この競馬で勝ったから、絶対に外に出さないとというイメージで乗らなくてもいいですよね。幅が広がりました」と森騎手はさらに自信を強めたようだ。
「JRAの強い馬たちをたまには負かさないと」と常々言っている船橋の名将、佐藤賢二調教師は満面の笑顔だった。「丈夫な馬ですし、馬運車でもおとなしいので輸送も大丈夫でしょう。JBCに向けてびしっと仕上げて、勝たせたいと思います」と大一番に向けて気合が入った。佐藤厩舎からはJBCクラシックJpnⅠにヒガシウィルウィンも出走予定だ。
インタビューの際、森騎手は「この馬が強い」という言葉を何度も口にした。11月4日の京都競馬場では、キタサンミカヅキが一番強いというレースを見せてほしい。
取材・文:秋田奈津子
写真:早川範雄(いちかんぽ)
コメント
調教でも前走より状態も良く、返し馬も落ち着いていました。強い馬ばかりでなかなか捕まえられなくて馬を一生懸命励ましました。ゴールの瞬間は勝ったのが分かりました。僕自身ダートグレードは2着が多くなかなか勝てず情けなかったのですが、これを機にどんどん勝っていきたいです。
状態は前走よりも良かったので勝ってくれると思っていました。前目のポジションだったので終いが弾けるか、しかもインコースだったので心配しましたが差し切ってくれて良かったです。こういう競馬ができれば見ていて安心できますね。今日の状態を維持してJBCに向かいたいと思います。