特集
Road to JBC
実施日 | レース名 | 格/シリーズ | 競馬場 | 距離 |
10/3(水) | 日本テレビ盃 | JpnⅡ | 船橋 | 1,800m |
10/8(祝月) | マイルチャンピオンシップ南部杯 | JpnⅠ | 盛岡 | 1,600m |
10/10(水) | 東京盃 | JpnⅡ | 大井 | 1,200m |
10/11(木) | レディスプレリュード | JpnⅡ/GDJ | 大井 | 1,800m |
第15回 レディスプレリュード JpnⅡ
10/11(木) 大井競馬場 1,800m
プリンシアコメータ
ゴール前の接戦制しJBCへ
GDJはディアマルコが女王に
ダートの大種牡馬・アジュディケーティングが死亡して3年半が経つ。アジュディミツオーなど多くのダートグレードウイナーのみならず、アンサンブルライフが今年のさきたま杯JpnⅡでも3着に食い込んでいるように、息長く活躍馬を輩出。ダート競馬の拡大時期を支えた英雄だった。
そのアジュディケーティングを軸としたベルモントファーム生産馬も、地方競馬を中心に一時代を築いた。今ももちろん実力馬を生産しているが、活躍馬は枚挙にいとまがなく、時代を彩る存在が次々と脳裏をよぎる。ノスタルジーと言うと大げさだが、十年一昔。“ベルモント血統”という響きを聞けば、一陣の風が胸をサッと吹き抜ける。
プリンシアコメータはそれを思い起こさせてくれる存在。ベルモントファーム生産馬で、母の父はアジュディケーティング。そして母の全姉には、川崎所属として2004年のマリーンカップGⅢを制したベルモントビーチ。地方初参戦となった昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠで、いきなり2着と気を吐いたのも、血の成せるわざと納得させられた。
そして、この日も血が騒いだ。外の3番手を軽快に追走したプリンシアコメータは、3コーナー過ぎで抜群の反応を示し、直線で敢然と抜け出す。ゴール手前で外から大井のブランシェクールが急追するも、しぶとい粘り腰を発揮し、アタマ差で退けた。昨年のクイーン賞JpnⅢに続く重賞2勝目は、やはり南関東の地。ゴール手前で交わされそうになりながらも、最後までしのぎ切ったあたり、“血の利”があったか。
鞍上のジョアン・モレイラ騎手は、これが地方での重賞初勝利となった。香港を拠点に、いまや日本のファンにも広く知られるようになった35歳のブラジリアン。「地方で(重賞を)初めて勝てて、本当にうれしい」と喜ぶ姿が印象的だった。
惜しかったのは2着のブランシェクール。先団追走から抜群のタイミングで仕掛け、直線では勝ち馬を上回る脚いろだった。吉原寛人騎手は「馬体も絞れていたし、いい位置にもつけられました。でも、最後に併せにいったら相手も伸びて……」と、悔しさと落胆の入り交じった表情で話した。ただ、大井転入後の3戦が今ひとつだっただけに、復調のきざしは見えた。同じことは3着のアルティマウェポン(北海道)にも言えそうで、ともにタイトル奪取のチャンスは十分だろう。
このレース連覇を目指したクイーンマンボは単勝1.7倍の1番人気に推されたが、中団のまま伸びず7着に敗れた。「反応が良くなかったし、あまり進んでいかなかった」とクリストフ・ルメール騎手。昨年の圧勝ぶりからも能力は確かだが、近況はリズムが今ひとつ。軌道修正が待たれるところだ。
なお、グランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンは、このレースが最終戦。8着だったディアマルコが合計52ポイントとし、高知所属馬として初となる総合優勝を果たした。佐原秀泰騎手は「3歳のときも(永森)大智さんが乗った昨年も(GDJで)優勝できなかったので、やり遂げた気持ちがあります」と笑顔。JBCレディスクラシックJpnⅠを使う意向を知らされると、「出走できたならグランダムの代表として頑張りたいですね。先生(那俄性哲也調教師)も僕も、中央は初めてになるから楽しみです」と期待に胸をふくらませた。
もちろん、勝ったプリンシアコメータもJBCレディスクラシックJpnⅠへ向かう意向を示している。そもそもJBCは生産牧場が主導するダートの祭典であり、優秀な血をつなぐための選定の場。そこへ“ベルモント血統”が、前哨戦の覇者として挑むというのも胸に迫るものがある。プリンシアコメータのJBC挑戦は、地方で育まれた血の挑戦でもある。
GDJ古馬シーズン優勝、ディアマルコ
取材・文:大貫師男
写真:宮原政典(いちかんぽ)
コメント
初めて騎乗しましたが、以前のVTRも見たし、前走も同じレースで(別の馬に)騎乗していたので、イメージはできていました。最後は外からプレッシャーをかけられたけど、それにも耐えてくれました。コンディションが良かったし、競馬場も合っていたと思います。また地方で重賞を勝てるように頑張ります。
ペースはそこまで速くなかったと思うのですが、決め手勝負になると他馬が来るかもしれないから、3コーナーの手前から行ったほうがいいと話していました。最後に気を抜く面があるのを騎手も分かっていて、ナイスな騎乗をしてくれました。次走はJBCレディスクラシック。昨年の雪辱を果たしたいですね。