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第83回 2015年6月19日 ルースリンド

写真提供:鮫川啓一牧場さん
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 「ルースリンドの当歳は牧場で全て見せてもらったけど、ストゥディウムは一番馬っぷりがいいなって思った。でも、ここまでになってくれるとは……これも競馬の面白いところだね」と矢野義幸調教師から笑みがこぼれます。

 矢野厩舎で4つの重賞勝ちを収めたルースリンドの愛息ストゥディウムは、今年の南関東クラシック戦線をオウマタイムとともに中心的存在として盛り上げました。

 2歳時には平和賞とハイセイコー記念を勝ち、クラシックレースでは羽田盃を制覇。「ルースの仔が生まれたのもすごくうれしかったのに、うちに来てくれて、デビューして、初勝利を挙げて、重賞に出て勝ってくれて……。夢が現実になったけど、あっという間に過ぎていったね」(矢野調教師)。

 ストゥディウムの父として脚光を浴びたルースリンド。初年度産駒はストゥディウムをはじめ6頭がデビューし、4頭が勝ち上がり、あとの2頭も2着が最高着順。この成績も立派すぎるでしょう。

 今シーズンから種付け時はイーストスタッドさん(浦河)で過ごしていて、現段階で25頭の繁殖牝馬に種付けを行ったそうです。今年は1頭の産駒が生まれていて、その前の2年間は0頭だったことを考えても、飛躍的な頭数。ストゥディウムが羽田盃を優勝した後に、さらに集まったそうです。

 「子供が走って、自分の力で自分の居場所を作って、本当にすばらしいことだと思いますよ。エルコンドルパサーの血が入っているのも貴重ですし、子供の競走成績は大きいので、これからも大きいところを勝って走り続けて欲しいですね」(イーストスタッドの青木大典場長)。

 ルースリンドは牝馬に一直線タイプで、仕事はかなりお好きとのこと。今の生活を謳歌しているようで何よりです。

 写真はシーズンオフ中に過ごしている鮫川啓一さん(浦河)の牧場にいるときのもので、ファンの方から、産駒重賞初制覇を記念して、大好きなバナナが送られてきたそうです。バナナを前にすると目の色を変えて、幸せそうな表情をしながら頬張る姿は、現役時代と変わりません。

 種付けシーズンも終わるので、もう間もなく鮫川さんの牧場に帰ってくる予定ということです。

 「ストゥディウムはルースよりもヤンチャだけど、レースの切れ味は似ている。東京ダービーは末脚が不発に終わってしまったけど、その後も順調にきているし、ジャパンダートダービーはこの馬の持ち味が出る競馬になるといいね」(矢野調教師)。

 来年はルースリンドの血を引く産駒がこれまで以上に誕生予定で、ストゥディウムに続くような仔たちが出現することを願いたいです。

 南関東から旅立ったルースリンド、種牡馬として立派に過ごしています。

ルースリンド
(08年東京記念優勝時 写真:いちかんぽ)
ルースリンドの産駒ストゥディウム
(15年羽田盃優勝時 写真:NAR)
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など