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連載第42回 1993年　サラブレッド大賞典

『マルカロッキー悲願の重賞初勝利』
1993年　サラブレッド大賞典　マルカロッキー

　荒尾競馬サラブレッドの大一番、第４回サラブレッド大賞典。創設時より開催時期がころころ変わり、とりあえずこの年は「この年の荒尾サラブレッドナンバー1を決めるレース」という位置付けに落ち着いている。
　この年の注目馬は、マルカロッキーとユートジョージの2頭。
　マルカロッキーは1988年に中央競馬でデビュー。デビュー戦は6着に敗れたが、折り返しの新馬戦で初勝利。シンザン記念、きさらぎ賞はいずれも6着に敗れ、デビュー7戦目のアザレア賞でようやく2勝目。日本ダービー出走を賭けた京都４歳特別で17着大敗し、クラシック出走の夢は断たれる。その後900万、1400万と地道に自己条件を勝ち上がり、明け4歳の日経新春杯では武豊騎手が騎乗しトーワトリプルから0.4秒差6着と好走する。
　オープン競走で2着2回し、降級の後5歳春に再びオープンへ。阪神大賞典でメジロマックイーンの4着、産経大阪杯でホワイトストーンの3着、そして念願叶って初のG1となる91年天皇賞・春ではメジロマックイーンの1秒差7着と健闘。初重賞制覇を賭けた京阪杯でイクノディクタスの3着に敗れ、中津競馬へ転出する。
　しかし中津は合わなかった3戦していずれも最下位。さらに水沢に移籍したが、トウケイニセイやスイフトセイダイの壁厚く、荒尾競馬へと移籍する。
　荒尾の水が合ったのか、初戦の大阿蘇賞で2着と12戦ぶり、期間にして2年9カ月ぶりの連対を果たす。この時勝ったのがユートジョージだ。
　ユートジョージは1989年中央競馬でデビュー。初勝利は7戦目の未勝利戦だったが、そこから500万、すみれ賞と3連勝し、春蘭Sで2着した後、当時はダービートライアルのG2だったNHK杯に出走する。前半60.0ー後半60.8という厳しい流れを、中団から差し切り重賞制覇。日本ダービーは4番人気に推されるも9着。そこから2年、金杯3着など好走するものの勝ち切れず、佐賀競馬へ移籍した。移籍初戦を勝利し、続く2戦目は10着大敗。荒尾競馬へと移籍する。
　マルカロッキーとユートジョージがともに転入初戦で対戦した前哨戦の大阿蘇賞は、2頭のマッチレースとなり、3着以下は大差。「まだ50％くらい」というユートジョージがさすがNHK杯勝ち馬の貫禄をみせつけた。
　そして、サラブレッド大賞典。ユートジョージが1番人気、マルカロッキーが2番人気、このレースで「定年」を迎える10歳馬ベストリーズンが3番人気。戦前の予想もユートジョージとマルカロッキーの一騎打ちムードでスタートした。
　ポンと飛び出した内枠の2頭。ユートジョージは行く気を見せず、「スタートが良ければ一気に行こうと思っていた」（牧野騎手）最内のマルカロッキーが押して先頭に立ち、それを外からマークするユートジョージと松島騎手。
　隊列は崩れず、2周目に入ってもマイペースで楽に行くマルカロッキーとそれをマークするユートジョージ。3番手もラストランのベストリーズンが続く。
　勝負所から直線へ。ユートジョージがマルカロッキーを捕まえに行くが、「思ったより伸びなかった」と松島騎手。「ただ一生懸命に追った」と牧野騎手。直線に入ってもマルカロッキーの脚色は衰えず、2着ユートジョージに7馬身の差を付ける完勝で、初重賞制覇となった。「ゴールに入るまで勝てると思わなかった」と牧野騎手。中央時代の成績では向こうが明らかに上。その中でマルカロッキーの競馬に徹したことが、勝利へと繋がった。
　マルカロッキーはこのレースの後3戦し、2着2回と勝つことができず引退。4年間で5頭の産駒を出し、そのうちの1頭が当時連敗記録歴代2位のグレースアンバー（108戦0勝）である。
　ユートジョージは中央の平安Sに遠征したり、重賞の開設66周年記念に勝つなど6戦し2勝を挙げ引退。大分県の九州ファームで乗馬となった。

サラブレッド大賞典　平成5年（1993年）12月19日
サラブレッド系 オープン 1着賞金550万円　荒尾　2,150m　曇・良
着順	枠番	馬番	馬名	性齢	重量	騎手	タイム・着差	人気
1	1	1	マルカロッキー	牡8	56	牧野孝光	2.28.3	2
2	2	2	ユートジョージ	牡7	57	松島壽	7	1
3	4	4	ベストリーズン	牡10	58	吉井浩和	3	3
4	7	7	マイテイルドルフ	牡7	55	吉田隆三	1	6
5	8	9	ナカトップスター	牡8	58	田中隆仁	2	4
6	8	8	ロンテーラー	牝8	56	頼本盛行	1	9
7	5	5	マヤノリファーズ	牡8	56	和田正美	2	8
8	6	6	ウインザワールド	牝9	55	矢ヶ部徹	1	5
9	3	3	マルシゲホワイト	牡7	56	古泉悟	大差	7
払戻金　単勝250円　複勝110円・110円・170円　枠連複140円