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連載第38回 1991年 関東盃
『芝でもダートでもジヨージモナーク』
1991年関東盃 ジヨージモナーク
父ミルジョージ、母レッドシグナルの芦毛馬は87年(昭和62年)、大井の名門、赤間清松厩舎からデビューした。デビュー戦の新馬戦は2着に敗れたが、12月の2歳戦を連勝。年明けのゴールデンステッキ賞3着。いずれも1番人気に推され、88年(昭和63年)クラシックの有力馬と目されていた。しかし、その後の調教中に左ヒザなど数ヵ所に重度の骨折と脱臼を発症し予後を危ぶまれたが、オーナーの希望もあり治療を選択。スタッフの努力が実り、4歳春のC4一般戦で奇跡の生還(1番人気1着)を果たす。世は平成になっていた。復帰戦以降6連勝で初の重賞・関東盃(現サンタアニタトロフィー)へと駒を進めるもオープンの壁は厚く、51キロとハンデに恵まれたが6着。以降掲示板前後を行き来しつつ、暖かくなるにつれ調子を上げ、6月の準重賞ブリリアントカップで11ヵ月ぶりの勝利。5歳シーズンはこの1勝に終わったが、中山のオールカマー2着、府中の富士ステークス4着、そして15着に終わったがジャパンカップへと駒を進めている。
91年、6歳となったジヨージモナークは、馬体もだいぶ白くなっていた。2月末の金盃を叩かれ、4月の帝王賞で2着。芝のイメージが強い馬だが、ミルジョージ産駒だけにやはりダートでも走る。
そしてもうひとつ。金盃から早田秀治騎手が手綱を取ることになり、それまで先行していたジヨージモナークは、中団~後方からの競馬を教え込まれていた。脚質転換である。隅田川賞はテツノヒリユウに逃げ切られ7着だったが、大井記念で4着と暖かくなって再び調子を上げてきた。
次走は7月29日の関東盃。この年の羽田盃馬アーバントップが1番人気。前走の隅田川賞を逃げ切って調子を上げてきた前年の覇者テツノヒリユウが2番人気、そしてジヨージモナークは3番人気。
ゲートが開きホクトフローラが行く構えをみせるが、1コーナー手前でアーバントップが先頭に出る。シローランド、フジノパッサーと続き、逃げ馬テツノヒリユウは4番手。別定61キロを背負うダイコウガルダン、シンアボイ、ツクバスキーと続き、大井記念に勝ったアーデルジーク、マイテイースト、ジヤシントサンセーが続き、ジヨージモナークは15頭立ての12番手を進む。
早田騎手は向正面半ばでGOサインを出し、外をグングン押し上げ3コーナーで5~6番手の位置まで上がり、ひと息入れる。
逃げたアーバントップは3コーナーまではガンガン飛ばしていたが、一旦息を入れて4コーナーまで後続を引き付けていた。直線を向いて一気にスパートする手はずだったが、早々に息切れし、高橋三郎騎手が操るシンアボイが先頭に立つ。
ジヨージモナークはインコースで位置取りを上げ、直線で外に持ち出し猛追する。さらにB1のツクバスキーも追い込んで最後は3頭の叩き合いとなる。
結果、ジヨージモナークがクビ差出て重賞初勝利を挙げた。元来夏場に調子を上げるタイプで、鞍上が早田騎手に替り脚質転換が上手くいったこともあるが、前年から行われていた路盤改修と、ナイター砂導入以降およそ2秒遅くなっていた馬場を時計の出る馬場に戻したことも、本質的にスピードタイプのこの馬に味方した。
その後、絶好調を維持したまま9月15日のオールカマーに臨み、中央競馬、芝初勝利を挙げる事となる。
7歳となった92年(平成4年)は夏の新潟でBSN杯(芝1800m)で2着の後、3度目のオールカマーに出走したが、僚馬ハシルショウグンと激しくやり合い、5着に敗れている。地方馬最先着がジャパンカップに駒を進められるだけに、これは仕方のないところだ。
このレースを最後に現役引退、種牡馬となった。タマモクロス、オグリキャップなど芦毛馬全盛の時代で、地方馬ながらオールカマー優勝、また人気のミルジョージ産駒と当時強い印象を残していたジヨージモナークだったが、やはり馬産地での人気は今ひとつで、31頭の産駒を送り出すに留まった。その数少ない産駒の中から、アズマジョージが98年京浜盃3着となっている。
文●小山内完友(日刊競馬)
写真●いちかんぽ
写真●いちかんぽ
関東盃 平成3年(1991年)7月29日 | |||||||||
サラブレッド系4歳以上 1着賞金2,600万円 大井 1,600m 晴・良 | |||||||||
着順 |
枠番 |
馬番 |
馬名 |
性齢 |
重量 |
騎手 |
タイム・着差 |
人気 |
|
1 | 4 | 6 | ジヨージモナーク | 牡7 | 57 | 早田秀治 | 1:39.6 | 3 | |
2 | 6 | 11 | ツクバスキー | 牡5 | 52 | 西川栄二 | クビ | 7 | |
3 | 4 | 7 | シンアボイ | 牡5 | 52 | 高橋三郎 | 1/2 | 11 | |
4 | 7 | 12 | シローランド | 牡5 | 56 | 山口勲 | 2 | 6 | |
5 | 5 | 8 | テツノヒリユウ | 牡9 | 58 | 鷹見浩 | 1/2 | 2 | |
6 | 3 | 5 | アーバントップ | 牡4 | 56 | 田部和廣 | クビ | 1 | |
7 | 8 | 15 | ウメノローザ | 牝6 | 52 | 佐々木忠昭 | 1 | 12 | |
8 | 8 | 14 | マイテイースト | 牡5 | 52 | 的場文男 | 3 | 9 | |
9 | 1 | 1 | アーデルジーク | 牡5 | 57 | 鈴木啓之 | 1/2 | 4 | |
10 | 2 | 3 | ダイコウガルダン | 牡7 | 61 | 石川綱夫 | アタマ | 5 | |
11 | 6 | 10 | ニホンベレーザ | 牝5 | 54 | 佐藤隆 | 2 | 8 | |
12 | 7 | 13 | エスエスレデイー | 牝6 | 52 | 佐宗応和 | アタマ | 15 | |
13 | 2 | 2 | ジヤシントサンセー | 牡7 | 52 | 佐々木清明 | ハナ | 13 | |
14 | 3 | 4 | ホクトフローラ | 牝5 | 52 | 石崎隆之 | クビ | 10 | |
15 | 5 | 9 | フジノパツサー | 牝5 | 52 | 佐々木竹見 | 5 | 14 | |
払戻金 単勝580円 複勝230円・460円・920円 枠連複2,410円 |