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連載第40回 1992年 北日本マイルチャンピオンシップ南部杯

『北関東から来た快速馬 タケデンマンゲツ』
1992年北日本マイルチャンピオンシップ南部杯 タケデンマンゲツ

 当時、北日本地区の他地区交流競走であった「北日本マイルチャンピオンシップ南部杯」。秋晴れの水沢競馬場に10頭が集まった。
 圧倒的な単勝1番人気に支持されたのは地元岩手のグレートホープ。一昨年のこのレースを1分40秒0のレコードタイムで制し、この年もライバル・スイフトセイダイとの厳しい戦いを繰り広げ、みちのく大賞典、北上川大賞典に勝ち、そして上山で行われた東北サラブレッド大賞典では2着に5馬身差の圧勝で連覇。
 そしてここに宇都宮から北関東転入後10戦9勝のタケデンマンゲツ、4連勝中のベラミスキー、高崎からスプリンターズ賞に勝ったフジギニー、新潟から青山記念に勝ったバンダムプリンス、上山から日本海チャンピオンシップを逃げ切ったサファリキャップが出走してきた。
 ファンファーレが鳴り枠入りが始まるが、グレートホープが嫌がるそぶり。ようやく収まりゲートが開くと、ベラミスキーとエーコートランスが出遅れる。3コーナーの奥からスタートして、100メートルほどで最初の4コーナーを迎える水沢1600メートルでは、出遅れは致命的だ。
 6枠から押してサファリキャップがハナを奪う。並んで外からフジギニー、離れてベラミスキーとコマツノーザン、快速馬タケデンマンゲツは8番枠ということもあり、今回は控えて中団の外目を追走する。1番のグレートホープはインコースで待機。
 向正面中間、残り800メートルを切ったあたりでタケデンマンゲツが一気にスパート。4コーナーで先頭集団のエーコートランス、コマツノーザン、ベラミスキーを、外から一気にまくって先頭に立つと、後続を一気に引き離し5馬身差の圧勝。しかし、さすがの快速馬も水沢マイル特有の速い前半の流れに、普段よりもやや後ろの位置取りからのレースとなったが、外々をまわりながらも突き放す強さをみせた。2着も同じ宇都宮の快速牝馬ベラミスキー。のちにイヴニングスキー、ベラミロードらの母となる。
 人気のグレートホープは前のエーコートランスとベラミスキーに行く手を阻まれる不利もあったが、遠征の疲れもあり4着に敗れる。圧倒的人気のグレートホープが破れ、南部杯は過去5回中4頭目の他県からの遠征馬が勝利となった。トウケイニセイが現れるのは翌年である。
 タケデンマンゲツはこの勝利をきっかけに、本格的に遠征路線を歩む。笠松の全日本サラブレッドカップで4着と健闘し、川崎記念ではハシルショウグンの2着、帝王賞は14着と大敗するが、北関東では2600メートルのとちぎ大賞典は5着と敗れるが、中距離のレースではその快速振りを如何なく発揮。
 のちに上山に移籍し、そこでも13勝を挙げる。引退後はスピードを買われ種牡馬となり、2世代9頭の産駒を残している。
文●小山内完友(日刊競馬)
写真●いちかんぽ
競走成績
北日本マイルチャンピオンシップ南部杯 平成4年(1992年)10月11日
  サラブレッド系 オープン 1着賞金3,000万円 水沢 1,600m 曇・稍重
着順
枠番
馬番
馬名
性齢
重量
騎手
タイム・着差
人気
1 7 8 タケデンマンゲツ 牡7 56 平澤則雄 1:42.0 2
2 5 5 ベラミスキー 牝5 54 青木秀之 5 4
3 8 10 エーコートランス 牡9 56 小林俊彦 アタマ 5
4 1 1 グレートホープ 牡7 56 菅原勲 1 1
5 2 2 コマツノーザン 牡9 56 千田知幸 1/2 8
6 4 4 インターシオカゼ 牡9 56 佐藤浩一 1 1/2 9
7 3 3 セーヌボーイ 牡9 56 小竹清一 1/2 10
8 7 7 バンダムプリンス セン5 56 津野総夫 3 6
9 6 6 サフアリキヤツプ 牝6 54 佐藤庄一郎 2 1/2 7
10 8 9 フジギニー 牝5 54 工藤勉 3/4 3
払戻金 単勝360円 複勝190円・400円・380円 枠連複2,150円