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【2009年JPNサラブレッド・ランキング】

 国内競走馬の公式格付けである2009年JPNサラブレッド・ランキングが1月13日、発表された。
 全体のトップは秋に天皇賞、マイルチャンピオンシップを制したカンパニーと宝塚、有馬の両グランプリを制したドリームジャーニーでともに122。JRA年度代表馬のウオッカは120で4位だったが、牝馬の減量分(2キロ≒4ポンド)を考慮すれば124ポンドとなり、実質的にはウオッカがトップとなる。
 
8歳にして秋の盾を制したカンパニー(天皇賞)

 JPNサラブレッド・ランキングは、各馬の能力を数値化(単位:ポンド)したレーティングをランキングにまとめたもの。JRAホームページでも毎週発表されているレースごとのレーティングを基礎として、海外・地方での成績を加え、さらに1年間を通じてのレースぶりを検証し若干の修正が加えられている。ここでは、芝・ダートの両部門について、ダートを中心にその概要を紹介したい。
 
グランプリ春秋連覇を果たしたドリームジャーニー(有馬記念)
 09年のランキングを決める国際会議は12月に香港で開催。世界各国のトップホースのレーティングは、参加した国際ハンデキャッパーの検討によってレーティングが決定。その後実施された一部のレースを加え、09年1月1日から12月31日を対象期間とする世界規模のランキングが完成した。国際的な公式格付けとしては、年2回発表される『ワールド・サラブレッド・ランキング』と、年に数回発表される『ワールド・リーディングホース』の2つがあるが、JPNサラブレッド・ランキングは前者のランキングと同時期に発表される日本国内向けのランキング。JRAハンデキャッパーとNARレーティング担当者によって作成され、日本馬と日本の競走に出走した外国馬が対象となる。
 なお、ランキング詳細についてはJRAとNAR地方競馬全国協会の両ホームページをご覧ください。
JRAホームページ
http://www.jra.go.jp/
NAR地方競馬全国協会ホームページ
http://www.keiba.go.jp/
 
【2歳】
 芝・ダート、距離の区分がなく、まとめて発表されるこの部門。朝日杯FSを快勝しローズキングダムが114ポンドでトップとなった。この数字は例年のトップより2ポンド高く、過去10年での最高値となる。
 一方、牝馬のトップは阪神JFの勝ち馬アパパネで108。前年のブエナビスタの110には及ばないものの、06年ウオッカ、07年トールポピーの108と並ぶ高水準となった。
 
笠松から誕生した超新星ラブミーチャン(全日本2歳優駿)
 ダートは、牝馬ながらデビューから無傷の5連勝で全日本2歳優駿を制したラブミーチャン(笠松)が105でトップに立った。以下、北海道2歳優駿を快勝したビッグバン(北海道)と、全日本2歳優駿でA着に食い込んだブンブイチドウ(北海道)が103で並び、上位を地方勢が占める結果となった。
 今回の対象馬は45頭で、これは08年と比べプラス8。そのうち芝は39頭で前年比プラス6、ダートは6頭で同プラス2となった。また、地方馬は4頭で前年比プラス1だった。
 
【3歳・芝】
 シーズンを通じてしのぎを削り、古馬、牡馬と互角以上に戦った牝馬2強が高い評価を得て、この世代の実質ワン・ツーを占める結果となった。
 数字上のトップはダービー馬ロジユニヴァースで118ポンド。牝馬2冠馬ブエナビスタは有馬記念A着で117を得たが牝馬の減量分を考慮すると121で実質トップとなる。同様にジャパンCでB着に好走し115の評価を得たレッドディザイアが実質119でブエナビスタに次ぐ実質2位となった。
 以下皐月賞馬アンライバルドが116、菊花賞馬スリーロールスが115で続く。
 
秋の古馬戦線でも活躍を見せたブエナビスタ(オークス)
 地方馬では春のクイーンCでB着のエイブルインレースが101でただ1頭ランクインした。
 今回の対象馬は78頭で前年比プラス1、そのうち牝馬は前年と同数の26頭だった。
 距離区分ごとのトップは、Sが函館スプリントSの覇者グランプリエンゼルで102(実質106)。M・LはブエナビスタでMが桜花賞@着時の112(同116)、L117(同121)Iは秋華賞@着時のレッドディザイアで113(同117)。Eはスリーロールスで115となり、実に4区分で牝馬が実質トップに立った。
 
【3歳・ダート】
 112ポンドでトップに立ったのは2頭。まず1頭はJBCスプリントを制した前年の2歳王者スーニ。今季は緒戦の伏竜Sで59キロを背負いながらゴール寸前に差し切り勝ち。その後は勝ち切れなかったものの、JBCスプリントの勝利であらためてその実力を見せつけた格好だ。
 
JBCスプリントを快勝した前年の2歳王者スーニ
 もう1頭は並みいる強豪を相手に武蔵野Sを快勝したワンダーアキュート。秋は1600万特別からシリウスS、そしてこの武蔵野Sまで3連勝を飾った。兄に同じダート路線を歩むワンダースピードがおり、今後は兄を超える活躍を期待したい。
 3位にはジャパンCダートA着が評価されたシルクメビウスが111で続く。春にユニコーンSを勝ち、続くジャパンダートダービーでもA着に入っていたが、秋は前述のジャパンCダートの前にはオープンのトパーズSを圧勝しており、さらにパワーアップした印象だ。
 牝馬では関東オークスとスパーキングレディーCを連勝したラヴェリータが103でトップに立った。秋は勝てなかったものの武蔵野S、兵庫ゴールドトロフィーといった牡牝混合戦でも差のないレースをしており、来季はダート女王の座を狙う。
 地方馬では浦和記念を制したブルーラッド(川崎)が106でこの部門の7位タイにランクインした。このほかに地方馬は4頭がランクインして計5頭、いずれも南関東勢である。
 今回のランキング対象馬は前年比プラス8の22頭で、過去最多となった。牝馬は3頭(前年比プラス2)。夏以降に古馬との対戦を迎えても好走を見せる馬が多く、今後ダート路線を席巻する世代となるか期待が十分に持てる。
 距離区分ごとのトップは、Sが東京盃A着のスーニで105。Mが前述のスーニとワンダーアキュートで112。Iはジャパンダートダービーを勝ったテスタマッタで110。Lは該当馬なしだった。
 
【4歳以上・芝】
 ブエナビスタが実質的な頂点に立った3歳芝部門同様、4歳以上芝部門でも、女王ウオッカが実質的なチャンピオンとなった。春のドバイ遠征は振るわなかったが、以降は国内のレースに専念し、ヴィクトリアマイル、安田記念、ジャパンCとGT3勝。このうちヴィクトリアマイルと安田記念でともに120ポンドの評価を得た。牝馬の減量分を考慮すると124となり、これで3歳時から3年連続で牡馬を含めてのトップとなる。
 
壮絶な熱戦でジャパンカップを優勝したウォッカ
 数字上のトップは秋に天皇賞、マイルチャンピオンシップを制したカンパニーと宝塚、有馬の両グランプリを制したドリームジャーニーが122で並んだ。ジャパンCでハナ差A着のオウケンブルースリが121で続き、大阪杯A着のディープスカイが120となった。
 各区分のトップは、Sは高松宮記念、スプリンターズSの春秋スプリントGTを制覇したローレルゲレイロで115。Mはウオッカで120(実質124)。Iはカンパニーで122。Lはドリームジャーニーで同じく122。Eは天皇賞・春を制したマイネルキッツで117となった。
 今回の対象馬は過去最多の149頭で、前年比プラス21。牝馬は28頭で前年比プラス3となり、こちらも過去最多となった。地方馬はこの部門ではランク入りしていない。
 
【4歳以上・ダート】
 ディープインパクト、シーザリオ世代である2002年生の馬たちが、3歳(05年)以降ヴァーミリアン、カネヒキリらを擁し質量ともに他世代を凌駕してきたこの部門。そこへ遂にというべきか、ようやくというべきか、世代交代の動きが現れ始めた。
 118ポンドでトップに立ったのはエスポワールシチー。前年に3歳ダート部門で109ポンドの評価を得ていたが、今季に入りマーチSで初重賞制覇を成し遂げると、かしわ記念、南部杯、ジャパンCダートとGT/JPNTを3連勝した。その軌跡はまさに充実一途といえるだろう。
 
圧巻の逃げ切りでJCダートを制したエスポワールシチー
 1ポンド差の2位には春にフェブラリーS、そして暮れの東京大賞典を制したサクセスブロッケンと帝王賞に勝ち、JBCクラシック3連覇の偉業を成し遂げたものの、それまでの圧倒的な存在感にやや翳りがみえてきたともいえるヴァーミリアンが117で並んだ。サクセスブロッケンは秋シーズン、またヴァーミリアンはシーズンを通じてエスポワールシチーに先着できなかった点もこのような序列となった理由の一つである。
 同じく1ポンド差の4位にはフェブラリーSA着、B着のカジノドライヴカネヒキリの2頭が116で続く。
 また、牝馬ではTCK女王盃を制したヤマトマリオンが105でトップ、この部門では27位タイにランクされた。また、JRAから川崎へ転籍後2戦目のクイーン賞を制したユキチャンは102で、牝馬では2位タイ、この部門では48位タイとなった。
 地方馬のトップは川崎記念A着の評価を得たフリオーソ(船橋)が114の評価を得てこの部門の6位タイとなった。また、同馬はダイオライト記念を制し、L区分トップとなる111の評価も得ている。
 各区分のトップは、Sがバンブーエールで113。春のドバイ遠征から帰国後も安定した成績で秋には東京盃を制し、JBCスプリント連覇が視界に入ってきた矢先の故障は本当に残念だった。Mはエスポワールシチー。Iは帝王賞@着のヴァーミリアン。Lはフリオーソと、東海Sを制したワンダースピードが111で並んだ。
 今回の対象馬は70頭で、前年比プラス5で過去最多。一方、地方馬は11頭で前年比マイナス3、牝馬は6頭で前年比プラス2となった。地方馬は前年も交流レースが活発化した99年以来の最少頭数だったが、それをさらに下回る結果となった。
 最後に、この部門の上位5頭は02年生が2頭、05年生が3頭という顔ぶれとなった。前年はこの部門の10位タイまでに8頭が名を連ねた02年生馬は、今回は同様に10位タイまでをみるとランクインは3頭。この世代は10年シーズンには8歳を迎えることとなり、世代交代が進むのは当然ともいえるが、それによって勢力図がどのように塗り替えられるのか、関心が大いに高まるところである。
 
文●地方競馬全国協会 レーティング担当
写真●M.S、いちかんぽ、NAR
 
4歳以上・芝  ※レーティング上位馬のみ掲載
 
ランキング
レーティング
キロ
馬  名
所属
距離区分
S M I L E
1 122 55.5 カンパニー JRA 8     122    
      ドリームジャーニー JRA 5       122  
3 121 55.0 オウケンブルースリ JRA 4       121  
4 120 54.5 ウオッカ JRA 5   120      
      ディープスカイ JRA 4     120    
6 119 54.0 スクリーンヒーロー JRA 5     119    
      マツリダゴッホ JRA 6       119  
8 118 53.5 サクラメガワンダー JRA 6       118  
      ジャガーメイル JRA 5       118  
10 117 53.0 ファリダット JRA 4   117      
      マイネルキッツ JRA 6         117
(以下、主な馬のみ掲載)
14 115 52.0 ローレルゲレイロ JRA 5 115        
48 109 49.5 クィーンスプマンテ JRA 5       109  
 
3歳・芝  ※レーティング上位馬のみ掲載
 
ランキング
レーティング
キロ
馬  名
所属
距離区分
S M I L E
1 118 53.5 ロジユニヴァース JRA 3       118  
2 117 53.0 ブエナビスタ JRA 3   112   117  
3 116 52.5 アンライバルド JRA 3     116    
4 115 52.0 スリーロールス JRA 3         115
      フォゲッタブル JRA 3       115  
      レッドディザイア JRA 3       115  
(以下、主な馬のみ掲載)
10 112 50.5 ジョーカプチーノ JRA 3   112      
29 105 47.5 エイシンタイガー JRA 3 105        
54 102 46.5 グランプリエンゼル JRA 3 102        
61 101 46.0 エイブルインレース 大井 3   101      
 
4歳以上・ダート  ※レーティング上位馬のみ掲載
 
ランキング
レーティング
キロ
馬  名
所属
距離区分
S M I L
1 118 53.5 エスポワールシチー JRA 4   118    
2 117 53.0 ヴァーミリアン JRA 7     117  
      サクセスブロッケン JRA 4   117    
4 116 52.5 カジノドライヴ JRA 4   116    
      カネヒキリ JRA 7   116    
6 114 51.5 フリオーソ 船橋 5     114 111
      マコトスパルビエロ JRA 5     114  
8 113 51.0 バンブーエール JRA 6 113      
      ワンダースピード JRA 7     113 111
10 112 50.5 スマートファルコン JRA 4   112    
      セレン 船橋 4     112  
      ロールオブザダイス JRA 4     112  
(以下、主な馬のみ掲載)
23 106 48.0 フジノウェーブ 大井 7 106      
27 105 47.5 ヤマトマリオン JRA 6   105    
39 103 46.5 コウエイノホシ 川崎 6   103    
48 102 46.5 アンパサンド 川崎 5     102  
      ユキチャン 川崎 4   102    
      ルースリンド 船橋 8     102  
61 100 45.5 スパロービート 川崎 4 100      
      トップサバトン 船橋 5 100 100    
      ノースダンデー 船橋 4   100    
      ポートジェネラル 高知 6 100      
 
3歳・ダート  ※レーティング上位馬のみ掲載
 
ランキング
レーティング
キロ
馬  名
所属
距離区分
S M I L
1 112 50.5 スーニ JRA 3 105 112    
      ワンダーアキュート JRA 3   112    
3 111 50.5 シルクメビウス JRA 3   111    
4 110 50.0 テスタマッタ JRA 3     110  
5 109 49.5 トランセンド JRA 3   109    
6 108 49.0 ゴールデンチケット JRA 3   108 108  
(以下、主な馬のみ掲載)
7 106 48.0 ブルーラッド 川崎 3     106  
10 103 46.5 ラヴェリータ JRA 3   103    
12 102 46.5 ナイキハイグレード 船橋 3   102    
15 101 46.0 アースリヴィング JRA 3   101    
      シャレーストーン 船橋 3   101    
20 100 45.5 サイレントスタメン 川崎 3   100    
      ネフェルメモリー 船橋 3   100    
※3歳,4歳以上ともダートにはE区分がありません。
 
2歳  ※レーティング上位馬のみ掲載
 
ランキング
レーティング
キロ
馬  名
所属
距離区分
S M I L
1 114 51.5 ローズキングダム JRA 2 2歳は距離区分が
ありません。
2 111 50.5 エイシンアポロン JRA 2
3 108 49.0 アパパネ JRA 2
      ヴィクトワールピサ JRA 2
5 107 48.5 アニメイトバイオ JRA 2
      コスモファントム JRA 2
      ダイワバーバリアン JRA 2
      リディル JRA 2
(以下、主な馬のみ掲載)
11 105 47.5 *ラブミーチャン 笠松 2
22 103 46.5 *ビッグバン 北海道 2
      *ブンブイチドウ 北海道 2
37 100 45.5 *ナンテカ 北海道 2
*はダート
 
 
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