1987年から2001年まで15年連続での南関東リーディング(うち、全国リーディング10回)、NARグランプリの表彰制度ができた1990年から13年連続での最優秀騎手賞、1994年のJRA阪神・ワールドスーパージョッキーズシリーズでの総合優勝、そして地方重賞185勝など、達成してきた記録の数々は華々しい。
ただ、デビューから順調に勝ちまくってきたわけではない。通算500勝を挙げたのが13年目の1985年4月22日のこと。初めて年間100勝を越えたのがその年で(102勝)、まさにここから快進撃が始まった。通算1000勝到達は1987年12月7日で、500勝から1000勝までは、わずか2年7カ月とちょっとしか、かかっていない。その87年からは、ほぼ毎年200勝以上のペースで勝ち星を積み重ねてきた。
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石崎騎手と言えば、活躍馬の1頭としてアブクマポーロの名が挙げられる。1998年は9戦8勝(うち、ダートグレード6勝)という快進撃の年だったが、中でも印象に残っているのが東京大賞典。石崎騎手やその上の世代の騎手の時代は、たとえ大レースに勝ってもガッツポーズなどしないのが普通だったが、そのアブクマポーロで制した東京大賞典では、めずらしくゴールの瞬間に左手を大きく振り上げた。
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前年、2800メートルで行われた最後の年の東京大賞典では1番人気に推されながらも3着に敗れていたこと、そしてこれが自身初の東京大賞典制覇となっただけに、相当うれしかったのだろう |
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2001年ジャパンダートダービー(トーシンブリザード) |
そしてもう1頭、ジャパンダートダービーを含め、無敗のまま2001年の南関東四冠を制したトーシンブリザードの名も挙げられる。
石崎騎手がもっとも勝ち星を量産していたのが、このアブクマポーロからトーシンブリザードの時代と重なるのは、偶然ではないだろう。
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あらためて言うまでもなく、地方競馬最多勝記録は佐々木竹見元騎手の7,151勝だが、その数字が近くに見えてきた。とはいえ、竹見元騎手と石崎騎手では活躍した時代が違い、その数字ばかりを同じ尺度で論じることは難しい。
地方競馬の年間最多勝記録は竹見元騎手が1966年に達成した505勝だが、これは1日の騎乗数に制限がなかった時代のこと(その後、地方・中央合計では2006年に内田博幸騎手が524勝の記録がある)。石崎騎手がリーディングを続けていた時期のほとんどは、南関東では原則として1日6レースまでと騎乗数が制限されていたからだ(その後1999年からは1日8レースに緩和)。
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石崎騎手は今年1月に53歳になった。ここ数年、勝ち星が減ってきたとはいえ、昨年は89勝(南関東88勝)を挙げ、南関東リーディングでは10位に食い込んでいる。
ひとまずの目標であったという6,000勝を超え、その勝ち星をさらにどこまで伸ばせるか、楽しみに見守っていきたい。
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文●斎藤修(サイツ)
写真●いちかんぽ、千葉県競馬組合、NAR
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