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第97回 2016年8月19日 アジュディミツオー
スピード、スタミナ、パワー、賢さと、全てを兼ね備えた希代なる名馬アジュディミツオー。東京大賞典連覇や帝王賞、川崎記念、東京ダービーなど通算タイトルは8勝。2005年にはドバイワールドカップに出走し、地方所属馬として初めて世界へ挑戦。NARグランプリには4度の受賞があり、2005年と2006年には2年連続で年度代表馬になりました。
最近のダートグレードレースは中央勢の圧倒的な強さを目の当たりにしているので、アジュディミツオーがどれほど偉大であったかを痛感します。南関東競馬の誇りでした。
現役引退後は北海道のアロースタッドさんで種牡馬生活を送っていましたが、この夏、生まれ故郷の藤川ファームさんに帰ってきて、今後はプライベート種牡馬としてこの仕事を続けるそうです。1歳10月に育成牧場へ旅立ったそうで、今年15歳になり、約13年2か月ぶりの帰郷。
現役時代から草食動物というよりは肉食獣のような雰囲気を醸し出していた馬ですが、大井競馬場で厩務員をしていたこともある藤川尚貴社長が、今は馬房から放牧地への出し入れ、手入れなどをしているそうです。
「自分で何者かを知っているというか、どや顔していますよ(笑)。人間より上だっていう気持ちはすごい馬ですが、賢いので、僕には絶対に何もしないですね。相変わらず元気はいいですが、思っていた以上にオンオフのスイッチの切り替えは早いです」(藤川社長)。
北海道も暑い時期なので、馬房では扇風機の前にいるのがお気に入りのスポットだそう。今はオフシーズンなのでのんびりモードですが、エサや運動にも気を遣いながら、種牡馬としての体型維持にも努めていきたいそうです。これからデビューする楽しみな産駒もスタンバイ中。
藤川ファームさんは家族経営の牧場です。藤川社長は3兄弟の次男、兄の友則さんは北海道で装蹄師をしていてミツオーが北海道へ帰ってきた時には装蹄を行っていたそうで、弟は競馬場で担当していた厩務員の伸也さん。
「親父(喜美雄さん)も同じ気持ちだと思いますが、東京大賞典を連覇して、ドバイにまで連れて行ってくれて、本当にうれしかったし思い入れのある馬です。ミツオーは家族みんなで関わることができたので、今度はミツオーの子供で味わいたいですね。どこかで(活躍馬が)出るんじゃないかなって、夢が続いていければ……」(藤川社長)。
夢や希望をたくさんの人たちに与え続けてくれたアジュディミツオー、今度は子供から……。そういう日が来ることを、ミツオーファンの一人としても、信じています!
見学については、競走馬のふるさと案内所にお問い合わせください。
http://uma-furusato.com/
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など