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第95回 2016年6月20日 カネショウバナナ

カネショウバナナと長浜智美さん
(写真提供:高橋華代子)
Profile
 カネショウバナナを覚えているでしょうか?2006年に川崎競馬場からデビューし、2歳の牝馬重賞や南関東クラシック牝馬3冠全てに出走。愛らしいネーミングとルックスからも、巷ではバナナ姫と呼ばれて、ファンの多い馬でした。バナナ色の黄色メンコを着用していた姿も、何とも微笑ましかったです。

 そんなカネショウバナナも現役引退後は生まれ故郷の長浜忠さんの牧場(新冠)に帰り、早くも5頭のお母さん(今年生まれた産駒は父がグラスワンダーの牡馬)。

 年齢も12歳になり、仔馬を連れているにも関わらず、牧場に来るお客様には育成馬と間違われてしまうくらいの愛らしさだそうで(笑)。

 「性格は現役の頃からツンデレのお姫様ですね。お母さんになっても変わらずで、いつも一番かわいいのは自分自身。カメラがあれば、子供より自分が映りたがります。

 子育ては実にきめ細かくて、小さいうちは仔馬の体をきれいになめて、お乳の時間の間隔が空きすぎないようにと、仔馬を呼んで授乳させます。仔馬がある程度成長すると、つかず離れず目を配りながらも干渉しませんね。出産はこれまで全てがあっという間のスピード安産です」と、牧場の奥様・長浜智美さん。

 いつもおじゃまさせて頂くと、智美さんが「ばなこ~!」と放牧地の遠くにいるカネショウバナナを呼んで下さいます。私も感慨深く、「バナナちゃん」と近づいていこうとしても、ツンデレ具合を発揮して、青草を食み続けている何気ない姿も幸せな光景。

 カネショウバナナの母カネショウベガも川崎で走り、長浜さんの牧場で繁殖入り後は、このカネショウバナナやチョウサンペガサス、南関東で重賞制覇の期待が高まっているインフォーマーと、カネショウベガ一族は大活躍しています。牧場にとっても非常に大切な血統で、その唯一の後継繁殖牝馬がカネショウバナナになるそうです。

 「ばなこは牧場の支えで、生まれたときからお世話をしたかわいい娘ですから、掌中の珠と言ってもいいくらいです。できることなら、お互いがお婆さんになっても牧場で一緒に暮らしたいですね。そのためにはまず健康で安産を続けてもらいたいということに尽きます」(智美さん)。

 今年はお腹に、タイムパラドックスの仔を宿しているそうです。これからも何より元気に、一緒に夢を叶えて欲しいと思います。
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など