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第64回 2013年11月20日 ボランタス

 今回主役のボランタスは、中央5勝の実績で、2010年春から川崎の山崎尋美厩舎に移籍しました。10ゴールドカップ、11報知オールスターカップ、11埼玉栄冠賞、11浦和記念JpnⅡと4つのタイトルを手にした川崎の大将。

 長くいい脚を使える追ってバテないタフさは、この馬の何よりのセールスポイントでした。「走りに迫力があって行き出したときの破壊力はスゴイんです」と、コンビを組んでいた山崎誠士騎手が言っていたことを思い出します。浦和記念JpnⅡではさらに瞬発力も加わって、大外から豪快に中央勢を飲み込んで、念願だったダートグレードレースを制覇。

 11川崎記念JpnⅠは惜しくも3着に敗れてしまいましたが、地方競馬の総大将フリオーソ独壇場と言われていた中でも、真っ向勝負に挑んで勝ちにいった姿は、フリオーソに負けないくらいカッコよかったことも、個人的には印象深かったワンシーンです。

 今年の京成盃グランドマイラーズに向けた本追い切りのあと、右後肢に違和感が出て、そのまま現役生活に幕を下ろしました。

 6月下旬、新天地の茨城県常総市にある守谷乗馬クラブに移動。まずは脚元を治すために放牧地でのんびり過ごし、10月くらいから乗馬の練習を始めたそうです。「もう脚元はだいぶ良くなって、ダクもキャンターも問題はないですね。おとなしくてオンオフの切り替えがしっかりできて、騎乗者の指示に従順です。物覚えもいいし優秀な馬だと思います」と代表の小池啓補さん。具体的に言えば、現在は競走馬から乗用馬としての初期調教の訓練中だそうです。

 この夏場はひじょうに暑かったので、そのときは暑さを気にしていたそうですが、今は元気いっぱいで健康状態もとてもいいそうです。たくさんのファンが会いに来ているそうですよ。

 もう少ししたら中級者から上級者への騎乗を開始させるそうで、慣れてきたら、初心者が騎乗したり引き馬でも対応できるような訓練もしていく予定だそうです。順調にいけば、ボランタスに騎乗することができるかもしれないなんて……興奮しちゃいますね(笑)。

 「こうやって今でもファンの皆さんが会いにきてくれて名の知れている馬ですし、ゆくゆくは障害飛越訓練もして、競技へ出場することも考えています」(小池さん)。

 川崎の大将ボランタスが、今度は新しい世界で、どんな姿を披露していくんでしょうか。南関東で走っていた頃は530キロから540キロ台でした。あの雄大な体で競技をする姿、想像するだけでも高揚してきます。ボランタスが頑張っていく形を、これからも追い続けたいです。

 守谷乗馬クラブ http://www.moriyariding.jp/





写真提供:菅原裕恵氏


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
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・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など