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第57回 2013年4月19日 カイロス

 『福山の怪物』と謳われ、持ち前のスピードで福山ダービーなど地元のビッグレースを総なめにしてきたカイロス。福山競馬場は今年の3月いっぱいで廃止になりましたが、全国にいる福山ファンの夢と希望を背負って、鳴り物入りで大井競馬場の佐野謙二厩舎に転厩してきたのは福山ダービーから数日後のことでした。

 デビューからコンスタントに走り続けてきましたが大きな疲れもなかったそうで、早々に4月8日のマーガレット特別(大井1200m)から始動。転厩初戦や初物(ナイターなど)、過酷な斤量58キロとさまざまなハンデはありましたが、だからこそカイロスの強さが際立っていたように思います。

 馬主さんサイドは福山時代からのゴールデンコンビ・佐原秀泰騎手を引き続き鞍上に希望していたそうですが、佐原騎手自身は川崎所属で翌週の地元開催から始動することになったため、同じ元福山の楢崎功佑騎手が手綱を取ることになりました。

 レースは58キロも影響したようでスタートから追っつけて3番手付近を追走していき、3~4コーナーでも手応えは怪しく見えましたが、それでも直線でジワジワ伸びていき、残り100m付近で前を行く2頭を一瞬のうちに並んで交わして楽々先頭でゴールしました。福山時代の韋駄天ぶりとはまた違った競馬スタイルも今後に向けて大きな収穫になったでしょう。

 『カイロス強い!』

 「代役をしっかり果たせてよかったです」と楢崎騎手もニッコリ。このあとは再び佐原騎手がコンビを組むそうで、上半期の最大目標は6月25日の優駿スプリント(大井1200m)を予定しているそうです。

 管理する佐野調教師にとっても言葉には言い表せないくらいのプレッシャーがあったと思います。「福山時代にカイロスを手掛けられた高本友芳調教師にいろんなアドバイスを頂けて感謝の気持ちでいっぱいです。今回は勝つことでいいプレゼントをさせて頂けたかなぁと思います。次からは佐野厩舎の仕事として、かかわってきた皆さんの思いも頑張っていきたいです」(佐野調教師)。

 実は、これからカイロスの調教とお世話を担当するのは福山で騎手をしていた周藤直樹さんなんです(現段階では厩務員認定手続き中)。すでに佐野厩舎のスタッフとしてスタートさせていますよ。

「福山はこういう形になってしまいましたが、福山のことをいつまでも忘れさせないためにも、今度は厩務員としてカイロスと一緒に上を目指して記憶に残していきたいです。全国にいる福山出身のみんなにも頑張って欲しいですよ。それが僕たちみんなの励みにもなりますから」(周藤さん)。

 福山魂は永遠です!




高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞情報
・楽天競馬
・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など