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第61回 2013年8月20日 ネームヴァリュー

 中央時代は芝で4勝を挙げ、00阪神3歳牝馬Sや01桜花賞、オークスにも駒を進めたネームヴァリュー。その後は船橋の名門・川島正行厩舎にやって来て、02京成盃グランドマイラーズを皮切りに通算6つのタイトルを手にしました。

 特筆すべきは03帝王賞での勝利でしょう。今は亡き佐藤隆騎手を背にスーッとハナに立つと最後まで軽快な走りで、ゴールドアリュールやビワシンセイキ、リージェントブラフなど強豪牡馬たちを一蹴。その年のNARグランプリ年度代表馬に輝きました。『女傑』という言葉がひじょうによく似合う、強くて美しい馬だったことが思い出されます。

 現役引退後は生まれ故郷の飛野牧場さん(新ひだか町)に帰り繁殖生活を送っています。初仔のピサノエミレーツは中央5勝の実績で南関東に移籍し、遠征競馬だった12せきれい賞(盛岡芝)で念願の産駒重賞初制覇を飾るなど、これまでデビューしている5頭の産駒すべてが勝ち星を挙げています。

 先日ネームヴァリューに会わせて頂きました。真歌にある飛野牧場さんはどんなに暑くても最高気温が25度くらいだそうですが、「それでも『暑い暑い』ってみんな言っていますよ(笑)」と飛野正昭社長。東京は平均35度くらいの日々が続いていますが何ともうらやましい限り。

 久しぶりに会ったネームヴァリューは相変わらず凛とした気品のある馬でした。早いもので今年15歳になったそうで、ベテランママらしく貫録たっぷりの体つきですが、毛づやハリは抜群で健康体。太陽に照らされた鹿毛の馬体は輝いていて、緑の芝生にも映え、絵になる馬だなぁとしみじみ見入ってしまいました。

 立ち姿などの撮影が終わり、スタッフさんがネームヴァリューの引き手を放すと、周りでその様子を伺っていた繁殖牝馬たちがネームヴァリューの周りからサッと逃げていきました。「来た当時から強くて、今もうちにいる繁殖牝馬のボスですからね。みんな敬遠してよけていくんですよ」(飛野社長)。ネームヴァリューは母になっても強いんですね(笑)。

 2年間不受胎が続きましたが、今年はマンハッタンカフェの仔がお腹に宿っているそうです。

 「生まれた仔はみんな馬格があって大柄で品があります。ヴァリューはうちのナンバー1牝馬ですからね。G1を取る仔を出したいです」(飛野社長)。

 ゆくゆくはディープインパクトとネームヴァリューの仔を誕生させたいという夢もあるそうで、そんなビッグニュースが北の大地から届くことを楽しみに待ちたいですね。

 ネームヴァリュー、これからも元気に過ごして欲しいです!


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞情報
・楽天競馬
・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など