2010年上半期 JPNサラブレッドランキング
国内競走馬の公式格付けであるJPNサラブレッドランキングの2010年上半期(1月1日〜7月31日)分が8月4日、発表された。
全体のトップは宝塚記念を制したナカヤマフェスタと京都記念3着のドリームジャーニーでともに120の評価を得た。牝馬ではドバイシーマクラシックで惜しくも2着のブエナビスタが117でトップ。牝馬のアローワンス(減量:4ポンド)を考慮するとこちらが実質的にはトップとなる。
競走馬のランキングは、各馬の能力を数値化(単位:ポンド)することで表される。
世界の競走馬のランキングについては、IFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表される「ワールドサラブレッドランキング」があるが、これには、1年間の競馬を総括して順位付けしたランキングと、世界の主要レースの後に発表される最新のランキング(レーティング上位50頭。対象期間約6カ月)があり、いずれも、各国のハンデキャッパーの協議を経て決定される。
日本国内では、JRAホームページでも毎週発表されているレースごとのレーティングを基礎として、海外・地方での成績を加え、さらに対象期間を通じてのレースぶりを検証し若干の修正が加えられた上で、「JPNサラブレッドランキング」が年2回(上半期・通年)発表されるほか、本年からは、「ワールドサラブレッドランキング」レーティング上位50頭の発表に併せて「JPNサラブレッドランキング」レーティング上位20頭も発表されている。
当コーナーでは、芝・ダートの両部門について、ダートを中心にその概要を紹介したい。
【4歳以上・ダート】
前年にこの部門トップの評価を得たエスポワールシチーが、今年に入ってもフェブラリーSを完勝し、王座に君臨している。評価も前年と同じく118M。
今秋は米・ブリーダーズカップ参戦が予定されており、活躍を期待したい。
3ポンド差の2位には、川崎記念の覇者ヴァーミリアン、2年ぶりに帝王賞を制したフリオーソ(船橋)、そして長期休養明けの帝王賞2着の後、マーキュリーCを快勝したカネヒキリが115(いずれもI)で並んだ。
牝馬ではスパーキングレディーC、名古屋大賞典を制したラヴェリータが106M・I、プロキオンSを逃げ切ったケイアイガーベラが106Mで並んだ。両馬ともまだ4歳、また牡馬相手の勝ち星も挙げており、さらなる飛躍を望める。
地方馬ではフリオーソ(船橋)のほか、帝王賞で見せ場を作ったボンネビルレコード(大井)をはじめ合わせて10頭がランクインした。これは前年上半期との比較では4頭の増加。グレード競走では苦戦の続く地方勢だが、これらのランクイン馬に続く新星の登場が待たれるところだ。
各区分のトップは、Sは前年のJBCスプリントの覇者スーニが東京スプリント勝ちにより110の評価。Mはエスポワールシチーで118。Iもこの部門の冒頭のとおりヴァーミリアン、フリオーソ(船橋)、カネヒキリの3頭が115。
Lはダイオライト記念を制したフサイチセブンが111でトップとなった。
なお、JPNサラブレッドランキングでは馬場区分が芝・ダートの2種類であるため、オールウェザー(AW)トラックでの成績はダート部門にて発表している。
春のドバイ遠征で好走したレッドディザイアは115I、ローレルゲレイロは109Sでランクインしている。
エスポワールシチー
(フェブラリーステークス) |
フリオーソ
(帝王賞) |
【4歳以上・芝】
各区分のトップは、Sが高松宮記念優勝のキンシャサノキセキで115、Mは安田記念優勝のショウワモダンで117、ヴィクトリアマイルを制したブエナビスタは113だが牝馬のアローワンスを考慮するとトップタイとなる。
IはAJC杯を連覇したネヴァブションが115、Lは冒頭のとおりナカヤマフェスタとドリームジャーニーがともに120だが、牝馬のブエナビスタが117で実質トップ。Eは天皇賞(春)優勝のジャガーメイルが118となっている。
【3歳・ダート】
ジャパンダートダービー(JDD)を制したマグニフィカ(船橋)が109Iでトップとなった。地方馬の制覇は3年ぶり。昨年2歳時の全日本2歳優駿で大敗後は、今季前半を休養。ゴールデンウィークの南関東地区重賞・東京湾Cで復帰、休養明け3戦目でのビッグタイトル獲得となった。同馬の父は初年度産駒から芝・ダートを問わず活躍馬を続々輩出中のゼンノロブロイ。各部門で活躍する同期生の出世頭となることができるか。
続く1ポンド差の2位にはJDD2、3着のコスモファントム、バトードール、が108I、ユニコーンS快勝のバーディバーディが108Mで続く。
各区分のトップはMがバーディバーディ、IがマグニフィカでSとLではランクイン馬はいなかった。
牝馬ではJDD4着のミラクルレジェンドが唯一103Iでランク入りしている。なお、関東オークス優勝のシンメイフジは芝部門でランク入りしている。
地方馬のランクインは合わせて3頭。マグニフィカのほかには同じ南関東勢で東京ダービー2着のガナール(大井)が102I、羽田盃を勝ったシーズザゴールド(大井)101Mの評価となった。なお、大井在籍時に東京ダービーを制したマカニビスティーは104Iの評価となっている。
この部門はこのあとJRAでは芝路線からの転向組、地方勢ではJRAから移籍、再起を図る馬の活躍が例年目につく。これらの新興勢力の出現による世代の厚み、さらには古馬との対決の中で、より見応えのある戦いを期待しよう。
マグニフィカ
(ジャパンダートダービー) |
バーディバーディ
(兵庫チャンピオンシップ) |
【3歳・芝】
日本ダービー馬エイシンフラッシュが118L、2着のローズキングダムが117Lでそれぞれこの部門の1位、2位となった。
各部門のトップはSがエーシンホワイティ、ダッシャーゴーゴーで104、MがNHKマイルCを勝ったダノンシャンティで115、Iは皐月賞馬ヴィクトワールピサが116の評価を得た。
牝馬ではオークスで優勝を分け合ったアパパネ、サンテミリオンの両馬が111Lでトップとなる。
なお、ランキング対象馬の詳細についてはJRAホームページも併せてご覧ください。
◇ JRAホームページ
写真●いちかんぽ
4歳以上・ダート ※レーティング上位馬のみ掲載 |
|
|
3歳・ダート ※レーティング上位馬のみ掲載 |
ランキング
|
レーティング
|
キロ
|
馬 名
|
所属
|
性
|
齢
|
距離区分
|
|||
S | M | I | L | |||||||
1 | 109 | 49.5 | マグニフィカ | 船橋 | 牡 | 3 | 109 | |||
2 | 108 | 49.0 | コスモファントム(米) | JRA | 牡 | 3 | 108 | |||
108 | 49.0 | バトードール | JRA | 牡 | 3 | 108 | ||||
108 | 49.0 | バーディバーディ | JRA | 牡 | 3 | 108 | ||||
5 | 106 | 48.0 | トーセンアレス | JRA | 牡 | 3 | 106 | |||
6 | 104 | 47.0 | マカニビスティー | JRA | 牡 | 3 | 104 | |||
7 | 103 | 46.5 | ミラクルレジェンド | JRA | 牝 | 3 | 103 | |||
(以下、主な馬のみ掲載) | ||||||||||
8 | 102 | 46.5 | ガナール | 大井 | 牡 | 3 | 102 | |||
11 | 101 | 46.0 | シーズザゴールド | 大井 | 牡 | 3 | 101 |
4歳以上・芝 ※レーティング上位馬のみ掲載 |
ランキング
|
レーティング
|
キロ
|
馬 名
|
所属
|
性
|
齢
|
距離区分
|
||||
S | M | I | L | E | |||||||
1 | 120 | 54.5 | ドリームジャーニー | JRA | 牡 | 6 | 120 | ||||
120 | 54.5 | ナカヤマフェスタ | JRA | 牡 | 4 | 120 | |||||
3 | 118 | 53.5 | アーネストリー | JRA | 牡 | 5 | 118 | ||||
118 | 53.5 | ジャガーメイル | JRA | 牡 | 6 | 118 | 118 | ||||
5 | 117 | 53.0 | ショウワモダン | JRA | 牡 | 6 | 117 | ||||
117 | 53.0 | ブエナビスタ | JRA | 牝 | 4 | 117 | |||||
117 | 53.0 | マイネルキッツ | JRA | 牡 | 7 | 117 | 117 | ||||
8 | 116 | 52.5 | スマイルジャック | JRA | 牡 | 5 | 116 | ||||
116 | 52.5 | スーパーホーネット | JRA | 牡 | 7 | 116 | |||||
10 | 115 | 52.0 | キンシャサノキセキ(豪) | JRA | 牡 | 7 | 115 | ||||
115 | 52.0 | トライアンフマーチ | JRA | 牡 | 4 | 115 | |||||
115 | 52.0 | ネヴァブション | JRA | 牡 | 7 | 115 | 115 | ||||
115 | 52.0 | ファリダット(米) | JRA | 牡 | 5 | 115 |
3歳・芝 ※レーティング上位馬のみ掲載 |
ランキング
|
レーティング
|
キロ
|
馬 名
|
所属
|
性
|
齢
|
距離区分
|
||||
S | M | I | L | E | |||||||
1 | 118 | 53.5 | エイシンフラッシュ | JRA | 牡 | 3 | 118 | ||||
2 | 117 | 53.0 | ローズキングダム | JRA | 牡 | 3 | 117 | ||||
3 | 116 | 52.5 | ヴィクトワールピサ | JRA | 牡 | 3 | 116 | ||||
4 | 115 | 52.0 | ダノンシャンティ | JRA | 牡 | 3 | 115 | ||||
(以下、主な馬のみ掲載) | |||||||||||
11 | 111 | 50.5 | アパパネ | JRA | 牝 | 3 | 111 | ||||
111 | 50.5 | サンテミリオン | JRA | 牝 | 3 | 111 | |||||
36 | 104 | 47.0 | エーシンホワイティ | JRA | 牡 | 3 | 104 | ||||
104 | 47.0 | ダッシャーゴーゴー | JRA | 牡 | 3 | 104 |
|
- 九州スーパースプリントシリーズ
考察 - NARグランプリ2010 表彰式典・祝賀会
スナップ写真集 - 第60回川崎記念(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 2010年 JPNサラブレッド
ランキング - 第56回東京大賞典(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - LJS2010
スナップレポート - 第61回全日本2歳優駿(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 未来優駿2010 総括
- 第10回JBC総括
- JBCクラシック(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - JBCスプリント(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 第23回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - クラキンコ、史上初
「牝馬で三冠制覇!」 - 2010年上半期 JPNサラブレッド
ランキング - 阪野学騎手アジアヤングガンズチャレンジ2010
挑戦記 - 第12回ジャパンダートダービー(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 的場文男騎手、
通算6000勝の感謝 - 第33回帝王賞(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 桑島孝春騎手(船橋)の
引退に寄せて - みちのく大賞典直前企画 岩手競馬最強馬列伝
トウケイニセイ編 - DW特別寄稿 岩手競馬最強馬列伝
スイフトセイダイ編 - DW特別寄稿 岩手競馬最強馬列伝
カウンテスアップ編 - 南国土佐の特別な夜
〜第1回福永洋一記念〜 - 第22回かしわ記念(JpnI)
参考レース&注目馬解説 - 開幕迫る、ホッカイドウ競馬2歳戦
(後編)