第127回 2019年2月20日 カイロス
最後の福山ダービーを制するなど、福山競馬場の晩年の象徴的存在でもあったカイロス。『福山の怪物』とも称され、たくさんの人たちを魅了してきました。
福山時代は高本友芳厩舎、南関東では大井の佐野謙二厩舎、高知では那俄性哲也厩舎に所属。主戦の佐原秀泰騎手とのコンビで、重賞を6勝するなど、2歳から8歳まで走り続けました(通算成績71戦29勝2着11回3着4回)。
そんなカイロスの引退が決まったそうです。那俄性調教師のお話しでは、昨年末の調教中に、左後肢の管骨を骨折。軽度なものだったそうですが、年齢的なことも考慮し、第2のステージへ。
「カイロスは、レースでも、調教でも、普段の手入れでも、どんな時でも気持ちの強い馬でした。普通は年を取ると大人しくなって萎えてくるものですが、カイロスは何事にもへこたれることがなくて、競走馬としていつまでも闘争心を失いませんでした。これほどの強い気持ちを最後まで持ち続ける馬は、そう多くはないと思います」(那俄性調教師)。
怪我の影響で現役でいることが危ぶまれた時期もあったそうですが、2016年10月に高知競馬場へやって来て、月1、2回ペースで走り続けてきました。「人間が手助けをして、できることをやってきたとしても、最後はその馬自身の精神力や闘争心になってくると思います。よく立ち直ってくれました。復活させたというよりも、復活してくれたんです」。
現在も高知競馬場に在厩し、骨折した箇所は順調に回復しているそうです。この後は、山梨県の牧場に移動し、しばらくはのんびり過ごす予定とのこと。「今はまだ寒い時期なので、3月に入って暖かくなってから移動させてあげたいです」。
カイロスの気になる今後について、那俄性調教師はこうお話しされました。
「種牡馬にさせたいというオーナーさん((有)アシスタント様)のご意向で、受け入れ先と話しをつめていく予定です。オーナーはクーヨシン(那俄性厩舎に所属し、福山と高知を中心に走った名牝)も現役時代に所有されていたので、将来的にはカイロスとクーヨシンの仔を……と。実現できるかわからないですが、今はそういう夢を持って、オーナーも動いていらっしゃいます」。
たくさんの人たちの夢や希望、願いを背負い続けてきたカイロス。これまでも、これからも……。本当にお疲れ様でした!
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など