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第107回 2017年6月20日 トーシンブリザード

(提供:高橋華代子)
 今年の東京ダービーは、船橋の佐藤賢二厩舎に所属するヒガシウィルウィンが優勝しました。森泰斗騎手が手綱を取り、道中は5番手から徐々に進出し、最後の直線で先頭に立つと、そのまま後続を突き放していく圧勝劇でした。

 佐藤調教師は2001年のトーシンブリザード以来16年ぶり2度目の東京ダービー制覇。トーシンブリザードは南関東史上初の4冠馬で、南関東史に残る名馬の1頭です。クラシックの砂上を華麗に力強く駆け抜けた王者の姿……。あのときめきや興奮は今でも忘れられません。

 「トーシンがいなかったら、今も調教師をしていたかわからないよ。俺を男にしてくれた馬」と、佐藤調教師は思い入れの強さをよく話しています。今でも北海道に行った際は会いに行くそうです。

 そんなトーシンブリザードも今年19歳。新ひだか町の荒木育成牧場さんで功労馬として過ごしています。地方競馬にゆかり深いオリオンザサンクスやブライアンズロマンは現在の同僚で、放牧地に並んでいる姿は、圧巻の光景です。

 「一般的に年齢を重ねることで栄養摂取ができなくなって体力が落ちてくるものですが、トーシンは変わらずに食欲があります。歯の心配もまだないので、ニンジンは細く切らなくても丸ごとバリバリ食べますからね。大きな病気もないですし、状態は安定していると思います。年齢的な衰えも感じません」と荒木貴宏さん。

 私も去年の秋に立ち寄らせて頂きましたが、おでこの盛り上がりとパンパンのあごっぱりは変わらず。放牧地で日向ぼっこをしてウトウトしていたり、荒木さんのお嬢さんたちと戯れながら、とても優しい表情だったのも印象的でした。

「日中は放牧して、馬房ではおいしいご飯を食べて、馬にとっては平凡ですが幸せだと思います。少しでも穏やかに、このまま余生を送らせてあげたいです」(荒木さん)。

 普通の日常が幸せであること、これは人間も馬も同じですね。トーシンブリザードも来年20歳、この穏やかな時間が一日でも長く続きますように。

 なお、荒木さんは馬たちの余生についても尽力をされています。荒木牧場功労馬サポーターズを立ち上げていて、賛同者も随時募集中です。詳しいことはこちらhttps://akbks.jimdo.com/をご覧ください。

(提供:高橋華代子)
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ
など