浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

かしわ記念~さきたま杯(第77回)

かしわ記念JpnⅠ

 ワンダーアキュートは、前半こそ先行集団のうしろ6番手でしたが、3コーナー過ぎでは早めに仕掛けたベストウォーリア、ハッピースプリントの直後、3番手まで押し上げていきました。4コーナーから直線を向いたところでハッピースプリントが外に振られたために前が完全に空いて、そこを抜けられてきたというのは運がよかったですが、久々の騎乗だった和田騎手も落ち着いていて、好騎乗でした。
 終始自分のペースでレースができたのが2着のベストウォーリアです。ワンダーアキュートには交わされましたが、不利もなく実力は発揮したと思います。
 ハッピースプリントは3番手からの追走で、3コーナーから仕掛けて行きました。すぐ前のベストウォーリアが動いたからということもあったと思いますが、もう少し仕掛けを待ってもよかったと思います。さらに4コーナーで外に膨れてしまったのは残念でした。内のベストウォーリアにピタリと併せるように回ってこられれば、勝つまではいかなくても、もう少しきわどいレースになったかもしれません。
 クリソライトは、ダイオライト記念では強いレースを見せましたが、今回はメンバーのレベルが上ってということもあったでしょう。追走に苦労する場面もありました。
 サンビスタは4番手あたりのいい位置につけていました。牝馬でどこまでやれるかと思いましたが、3コーナーあたりでついていけなくなり、今回は残念な結果でした。

兵庫チャンピオンシップJpnⅡ

 勝ったクロスクリーガーは、まずダッシュ力が違います。内のリアファルが押して行ったのに対して、この馬は一瞬押しただけで行き脚がついて、楽に先手を取りました。この馬はトビが大きく、力強さがあります。前脚の掻き込みがほかの馬とは違います。ダートの長めの距離で力を発揮するタイプだと思います。力の違いを見せつけた、というレースぶりでした。
 地元期待のインディウムは向正面から早めに仕掛けてきましたが、前も離れていましたし、タイミングとしては悪くありません。勝負に行ったぶん、直線では伸びず、地元のコパノジョージにも交わされました。抜けて強い馬がいるメンバーでは、それを負かす気で行くか、ゆっくり構えていくかで結果は変わると思います。

さきたま杯JpnⅡ

 ノーザンリバーは、地方馬3頭が前で競り合ったところ、外枠だったこともあり、そのうしろの4番手からで絶好の展開になりました。抜群の手ごたえのまま、直線での伸びはさすがという感じでした。この距離でスムーズにレースができれば力が抜けています。
 トロワボヌールにも展開が向きました。中団追走から勝ち馬のうしろを追うように進出、ゴール前で伸びを見せる余力がありました。戸崎騎手ですから、コースをよく知っているということもあったでしょう。
 リアライズリンクスは内枠に入って前に行くしかなく、ナイキマドリードが競りかけてきて流れが速くなりました。道中は追い通しになってしまい、直後から突かれたぶん、この馬には厳しい流れになりました。それでもバテずに3着に粘ったのは力があります。
 岩手のラブバレットは、スタート後、無理に仕掛けず3番手につけてというダッシュ力があります。3コーナー過ぎで並びかけて手ごたえもあり、4着でしたが初めての遠征でよく走りました。同じ3番手からでも前2頭のうしろ、内に入れて、勝ち馬と同じタイミングで仕掛けていけば、さらにいいレースができたかもしれません。まだ4歳ですから、経験を重ねてペースに慣れてくれば、ダートグレードでもチャンスはあると思います。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。