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2015年5月27日(水) 浦和競馬場 1400m

理想の展開で直線突き放し連覇
グレード初挑戦の地方馬も好走

 浦和競馬場内にある木々の緑がより色濃く見える季節になってきた。夏を思わせる暑さとなったこの日。馬たちの汗ばむ体と騎手たちのカラフルな勝負服が、その緑に一段と映えていた。真夏になると南関東4場の中で最もうだるよう暑さとなる浦和競馬場の夏競馬も、もうそこまでやって来ている。
 今年のさきたま杯JpnⅡは、地元の快速馬リアライズリンクスがダートグレード初挑戦。どんな走りを見せるか大きな期待がかけられ、単勝オッズで1番人気に支持される時間帯もあったのだが(最終的には2番人気)、やはり中央勢の牙城は崩すことはできず。昨年の覇者ノーザンリバーが最終的には1番人気となり、今年も強いパフォーマンスを見せた。
 レースは、リアライズリンクスやナイキマドリード、ラブバレットが先行していき、ノーザンリバーはそれらを見る形で4番手の外目を追走。ドリームバレンチノやタイセイレジェンド、トロワボヌールと中央勢が続いた。
 ノーザンリバーは3コーナーから前に並びかけていき、4コーナーを回ったところでは抜群の手応えで先頭へ。「前の馬たちが上がっていく感じもなかったし、年齢を重ねてズブくなっているので、早めに上がっていきました。もっとゆっくり行っても勝てたとは思いますが、(今後のためにも)確実に賞金加算もしておきたかったので」とコンビを組んだ蛯名正義騎手。
 ここは落とせなかった一戦。直線ではこの馬の持ち味でもある末脚が炸裂し、2着に上がってきたトロワボヌールに4馬身差をつける完勝となった。1400メートル1分26秒7(良)。これで重賞6勝(ダートグレードは5勝)とし、今後のビッグレースに向けてもどんな活躍を見せていくのか楽しみだ。
 地元のリアライズリンクスは3着だった。左海誠二騎手を背にハナを切る自分の形に持ち込んだが、「あれだけプレッシャーをかけられたし、いつもなら2コーナーを回って息を入れてから離していくんですが……」(左海騎手)。3コーナーから早々交わされる厳しい展開になったが、それでも最後に差し返そうとして粘り込んだのは立派だった。差のない2番人気に支持されただけに、もう一歩のところで涙を呑む形になったのは残念だったが、ダートグレード初挑戦でのこの内容は今後に向けても価値あるものだったと思う。
 一方、岩手のラブバレットは好位を追走していき、3~4コーナーから先頭に立つシーンも見られ、僅差の4着となった。地元では重賞3勝を挙げているものの、ダートグレードレースや長距離輸送、コースなど初物尽くしで乗り越えなくてはいけないことが多々あった。「現状でどのくらいやれるか挑戦してみたのですが、思っていた以上に頑張ってくれたのでこれからが楽しみです」と管理する菅原勲調教師。再び岩手から夢を持たせてくれる生え抜きの有力馬が現れた。
 地方勢にとって、希望が見えたさきたま杯JpnⅡでもあった。
蛯名正義騎手
内枠に行きそうな馬が何頭かいたので、それを見ながら進めていこうと思っていたので予想通りの位置につけることができました。前走よりも行きっぷりはよくなっていたし、4コーナーをいい形で迎えられたので、あとは脚を使ってくれると思っていました。秋のジーワンに向けて頑張りたいですね。
浅見秀一調教師
馬もだいぶやる気になっていたし、何より良馬場でできたのもよかったです。蛯名君もうまく乗ってくれましたね。7歳になりましたがまだ若いし、いい脚を長く使えるのがこの馬の強みなので、また頑張っていきたいです。この後は放牧に出して、レースはオーナーと相談をして使っていきたいと思います。

3着に入った地元のリアライズリンクス

取材・文:高橋華代子
写真:宮原政典(いちかんぽ)