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第53回 2016年2月10日(水) こんにゃく串(高知競馬場)

高知競馬場
「まるまん」 こんにゃく串(100円)

まるまんの屋台
 通年ナイターの高知競馬場は、南関東が昼間の開催となる冬の時期は、火曜日と水曜日の開催が多くなっている。夜の時間帯における競馬ファンの需要を一手に引き受けているから馬券の売上も良好で、1日の売上高が3億円を超えることもある。
 しかしながら、ド平日の夜に高知競馬場まで足を運ぶファンは、全体からみると少数派。というわけで、平日開催はもともと少ない営業中のお店が、さらに少なくなっている。
 昨年、競馬場から徒歩10分のところにコンビニができたので、腹が減ってどうにもならなくなる心配はなくなったが、でもやっぱり場内で何か食べたいもの。その需要を一手に引き受けているのが、パドックの近くで屋台を構えている「まるまん」だ。
 メインのメニューは焼きそばとおでん。そして肉まんあんまんの蒸し器もある。通年ナイターでも冬はさすがに寒いので「肉まんください……」と申し出ると、
「まだ温まりきっていないんですよ」との回答。だったらおでんでいいかな。厚揚げとこんにゃくにしますわ。
こんにゃくと厚揚げ
 
もう1本注文!
 トレーに載ったおでん2品は串に刺さっていて、まさに食べ歩きができる競馬場フード。さっそく、まずはこんにゃくを口にした瞬間、軽い衝撃を受けた。
「ザラザラしている!」
 だって、いわゆる普通のこんにゃくって、表面や切り口が滑らかじゃないですか。玉こんにゃくになると、箸で持つのがむずかしいし。それがここのこんにゃくは、歯ざわりがとても悪いのだから驚いた。ということは、すごく良いこんにゃくということなのでは?
「高知の山のほうにある、津野町の葉山というところのこんにゃく芋で作られたものなんです。防腐剤とか一切使っていないですし、作りかたも昔ながらなので、なめらかではないんですよ。高知競馬場ではお店をもう25年もやっていますが、人気がありますよ」
 と、にこやかな表情で店に立つ西森美江さん。競馬開催がない日は、高知市内にある自宅に併設されたお店で、焼き鳥などを販売しているそうだ。
 高知競馬場を後にして、改めて「津野町」で検索してみると、特産品のひとつがこんにゃくで、こんにゃく作りの体験道場もあるとのこと。3年前、津野町のさらに奥にある梼原(ゆすはら)町の秘湯に泊り、帰りがけに津野町の道の駅に立ち寄ったけれど、そんなことまったく気がつかなかった!
 津野町を流れる新荘川は、とてもきれいだったなあ。そしてじつはわたくし、高知競馬場に年に1回以上は行っているのだけれど、「まるまん」さんで何か食べるのは初めて。そこにこんなに味わい深いものがあったなんて、まさに灯台下暗しという感じでビックリでした!

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。