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第51回 2015年12月10日(木) しゃもめし(浦和競馬場)

浦和競馬場
「おじま自然農園」 しゃもめし(580円)

 浦和競馬場に無料バスが到着する正門をくぐると、左手には昔と変わらぬ風景の飲食店街が連なっている。その向かい側に、2年か3年ほど前から屋台が出店するようになった。初めのうちは特設イベントかなと思っていたのだが、最近の状況を見る限りでは、開催日に常設されている模様。なかでも気になっていたのが「彩の国の地鶏」という横断幕だ。
 埼玉県は東京の郊外という面と、農業県という面がある。埼玉県北部には「深谷ネギ」や「深谷牛」というブランドもあるし、秩父方面には乳牛の牧場も多い。
 ただ、私は長いこと埼玉県民をやっておりますが、地鶏というイメージはまったくないんだよなあ。
「ウチは坂戸市で、コメも野菜も作っていますよ。自分のところで作ったコメや野菜をシャモに与えて、ストレスなく育てているんです。だからいわゆる普通の鶏肉とは別のものと考えていただきたいですね」
 地鶏といえば思い浮かぶのは宮崎で、私も年に1回か2回は宮崎に行くので、現地で食べる「地鶏のモモ焼き」は楽しみのひとつになっている。確かに宮崎の地鶏も、うちの近所のスーパーの鶏肉とはまったく違う。しかしそういうものが埼玉にもあるとは!

おじま自然農園
 
タマシャモの説明文とご主人

パック売りの「しゃもめし」
しゃも汁雑煮
 そのエキスがギュッと詰まっている「しゃもめし」を注文。本当は「しゃもめし・駅弁風」(700円)がよかったのだが「毎日、わりと早い時間に売り切れますね」とのこと。それでもメインディッシュは同じだから、まずはその鶏肉をいただこう。
 おお、すごく味が深くて濃い。たくさん噛んでも鶏の味がジワッと出てくる。思わず「スルメみたいですね」と表現してしまったが、噛みごたえがあって味に奥行きがあるのだから、あながち間違ってはいないだろう。
「4時間煮込んでいるからね」と、ご主人は鶏の味が染みわたった「しゃもめし」に自信ありの表情。この味わいなら「しゃも汁雑煮」(300円)もおいしそうだ。
「モチがなくなっちゃったんで、スープだけ味見してみる?」と渡された「しゃも汁雑煮(モチ抜き)」には、鶏のうまみがふんだんに入っている。そしてコラーゲンがたっぷり。その源のひとつは、なかに入っている鶏の骨付き肉。ダシとして使用されたものと思いきや、これにも鶏のいい味が残っている!
 おじま自然農園から出荷される鶏は、生育期間が180日以上なのだとか。通常のブロイラーだと50日程度らしいから、それだけの手間がかかっているわけだ。
「埼玉県の看板を背負わせてもらっていますからね」
 という自慢の品。同じ埼玉県民として、それが浦和競馬場に用意されていることを誇りに思います!

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。