第5回 出会い、別れ、出会い

(当コラムは、東京スポーツグループ各紙11月26日掲載分より転載したものです)
 3年前の春、競馬好きの友人から「今日仕事終わりに大井競馬場に行くけど、来る?」とメールが入り、アフター5を初めてトゥインクルレースで過ごしたことを、ふと思い出しました。
 ギャンブルはちょっと…と思いながらも断れずに初めてモノレールに乗ったことや、入ってみた場内は予想外に楽しいテーマパークをほうふつとさせたこと。初めて手にした競馬新聞は訳が分からない数字だらけだったこと。まるで幸せな風が吹いてきそうなチャーミングな名前に引かれて初めて賭けた「サチカゼ」という馬のこと。あまりにも速く走る馬たちを目で追えず、ゴールをしてもそれが勝ったことに気付かなかったこと。
 このたくさんの「初めての出会い」が好奇心へと変わり、それから何度も訪れるようになった競馬場は、私にとって毎週公演を行っている劇場のような存在になりました。
 けれども出会いがあれば別れもあります。私たちSDN48と同じお別れを迎えることとなった熊本県の荒尾競馬場のニュースを見て、馬や騎手たち、周りの大勢の支えている方々のことを思いました。活躍していたホームグラウンドが無くなり、毎日のように顔を合わせていた仲間でもあり戦友でもある者同士が離れ離れになる気持ち。それは私たちメンバーが卒業が決まった時に抱いた気持ちと共通するものがあるのではないかと思いました。
 その場所で経験したことや思い出を大切にし、これまで以上に強く走り続けなければなりません。私たちも荒尾競馬の方たちに負けないように、新たなる場所へ、さらに大きな”Cheers”との出会いのために、共に向かって行こうと思います。
近藤さや香(こんどうさやか)
 1984年4月1日生まれ、愛知県出身。SDN48の1期生メンバー。
 小学校2年生から高校卒業までアメリカで暮らしていたため英語が堪能で、AKB48の海外公演では通訳として帯同したこともある。落ち着きのある低音ボイスが特徴。


Cheers to 地方競馬