第3回 この走りには必ずドラマがある

(当コラムは、東京スポーツグループ各紙10月29日掲載分より転載したものです)
 このわくわくする言葉を胸に、スーパージョッキーズトライアル第2ステージの名古屋競馬場までいざ出発! こんなに緊張しながらどこかへ向かうのは、SDN48のオーディション以来でしょうか。
 初めて訪れた名古屋競馬場は、私の緊張とは裏腹にとてものどかな雰囲気で、ファンの方たちの「それこそが地方競馬の良さだよ」という言葉の意味が少し分かりました。平日の昼間の競馬場はまるで小学校時代に戻ったようなノスタルジックな気分になるものです。
 セレモニーの前に出場騎手に花束を渡し、一人一人に「頑張ってください」と声をかけるたびに緊張は高まり、私の中では既に勝手にドラマが始まっていました。何といってもジョッキーズトライアル。やっぱり優勝してほしいなと思う騎手もいたのですが、全国のトップの方たちの空気を感じ、複雑な気持ちになりながらレースを見ることに…。そしてスタートしてすぐに何かが違うと感じたのです。
 まずは9レースでのスタートから岡部騎手を筆頭に一瞬にして馬たちが内ラチ沿いにまとまり、背後から細かく駆け引きしながら突っ込んでいく騎手たちの姿に圧倒されました。そして次のレースでは第3コーナーに入る辺りからジョッキーたちが譲らずギリギリで競り合う迫力を目の当たりにし、砂ぼこりを浴びるほどの距離で見ていた私もヒヤヒヤしてしまうほどでした。
 この戦いは人間の「駆け引き」「腕の競い合い」でした。これは、馬の能力以上に、乗り手の戦いなんだ! と気付かされた瞬間です。
 ベストオブジョッキーが決まるドラマ。シナリオは人が作るからこそ無限にあって飽きないのかもしれないのですね。
近藤さや香(こんどうさやか)
 1984年4月1日生まれ、愛知県出身。SDN48の1期生メンバー。
 小学校2年生から高校卒業までアメリカで暮らしていたため英語が堪能で、AKB48の海外公演では通訳として帯同したこともある。落ち着きのある低音ボイスが特徴。


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