これまでより開催日が大幅に繰り上がったダービーグランプリは、3歳秋のチャンピオンシップとしてはローテーション的に出走が難しい地区もあったようで、遠征馬は兵庫から3頭のほかは、北海道、金沢から1頭ずつ。それでも、サラブレッド大賞典を勝ったタンクティーエー、不来方賞のヤマショウブラック、黒潮盃のリンノレジェンド、岐阜金賞のニューホープと、3歳秋のチャンピオンシップのボーナスを獲得できるチャンスのある馬が4頭出走してきた。

中でも、ホッカイドウ競馬所属ながら大井の黒潮盃を制したリンノレジェンドの実力が断然と評価され、単勝は1.3倍。ここでもその人気に違わぬ強さを見せた。

リンノレジェンドが好スタートを切り、内からタンクティーエーが一旦は行く気を見せたものの控えて2番手、バンローズキングスがこれに外から並びかけた。さらにニューホープ、ヤマショウブラックと続き、バンローズキングス以外はボーナスのかかる馬たちが前を固めた。

道中はリンノレジェンドの単騎逃げとなってペースが落ち着いた。2番手の外に持ち出したタンクティーエー以下、そのうしろも隊列はほとんど変わらないまま3～4コーナーで差を詰めてきたが、リンノレジェンドの手応えは楽なまま。うしろの馬たちが来るぶんだけ、前に出ればいいという態勢。直線を向いて追い出されると、あっという間に後続を突き放しての圧勝となった。

検量室前に戻ってきたリンノレジェンドの岡部誠騎手は開口一番「馬力が良すぎる！」と。前走黒潮盃でも手綱を取っていたが、それ以上に手応えを感じた様子だ。

2着に入ったタンクティーエーは5馬身差。4コーナー手前から懸命に追われたバンローズキングスが1馬身半差で3着。さらにヤマショウブラック、ニューホープと、ほとんど行ったままの順で決着となった。

逃げも予想されたタンクティーエーだが、藤田弘治騎手は、「速かったら2、3番手でもと思っていました。砂をかぶって嫌がっていたので外に出しましたが、勝った馬が強すぎた」とのこと。不来方賞で見せた鋭い末脚が不発だったヤマショウブラックの高松亮騎手は、「思ったよりペースが上がらなくて、途中から急にピッチが上がった」と、持ち味の末脚を生かせる展開にはならなかった。とはいえ不来方賞同様、前にいたニューホープを直線でとらえ、馬場状態の違いがあるにしても、走破タイムは不来方賞の勝ちタイムを1秒5も縮めた。各地の重賞実績馬がそれぞれ能力を発揮しての結果といえそうだ。

地元門別の三冠ではリンゾウチャネルに力及ばなかったリンノレジェンドだが、大井の黒潮盃、そしてここ盛岡と連勝し、3歳秋のチャンピオンシップでは最高額となる1000万円のボーナスを獲得。JBCに出走すれば“JBC出走奨励金”としてさらに200万円が支給されるが「それはないと思います」（林和弘調教師）とのこと。今後については北海道に戻ってから相談とのことで、道営記念で三冠馬リンゾウチャネルとの再戦や、絶対王者スーパーステションとの対戦が期待されるところ。冬場は南関東に移籍する可能性もあるとのことだった。