3歳秋のチャンピオンシップ、カテゴリーCのロータスクラウン賞。今年は他の多くのシリーズ競走と同様に開催時期が繰り上がり、2004年の創設から第4回までの8月下旬とほぼ同じ時期の開催に戻ってくることなった。
佐賀のここまでの3歳重賞では、春に行われた一冠目・佐賀皐月賞、二冠目・九州ダービー栄城賞を勝ったスーパージンガが重賞4勝(他、古馬重賞1勝)で圧倒し、三冠達成をかけてロータスクラウン賞に出走。一方、九州ダービー栄城賞2着のムーンパスノキセキや、重賞未出走ながら6戦5勝のムーンヴィグラスはここへ出走しなかった上、四国・九州地区交流戦ではあるが、黒潮菊花賞(高知)と同日の開催となり高知勢の登録もなかった。そのため、スーパージンガに不安要素なしと見られ、単勝は佐賀皐月賞(1.1倍)、九州ダービー栄城賞(1.2倍)を上回る支持を集め、元返し(1.0倍)となった。
好スタートを決めたニュールックを内からテイエムヒッパシレが抜いてハナを奪い、オーチンハラショウとスーパージンガが3、4番手につけて、単勝人気上位4頭が先行馬群を形成。2コーナーでスーパージンガの位置取りが一旦は下がったが、そこから外に持ち出すと向正面で前をまとめて交わしに行き、4コーナーでは先頭を奪取。直線ではテイエムヒッパシレも粘りを見せたが、スーパージンガは余裕のある手応えで1馬身半のリードを取り、危なげない勝利となった。さらに2馬身ずつ差がついて3着にニュールック、4着にオーチンハラショウと、先行した各馬が上位を確保。出走馬の中で唯一の佐賀生え抜きで西日本ダービーに出走資格のあるニチウォはスーパージンガから2秒4差の6着と厳しい結果に終わった。
佐賀の3歳三冠は、それまでの春秋の二冠(栄城賞、佐賀菊花賞)に、佐賀、荒尾、中津の3場が協調・連携していこうという『九州競馬』構想を契機に九州皐月賞荒尾ダービー(荒尾)を加えて三冠体制を確立。その後は荒尾の廃止もあり、三冠構成レースに変動はあったが、『九州競馬』時代にカシノオウサマ(2002年)、佐賀単独となってからエスワンプリンス(2012年)が三冠を達成。昨年から佐賀皐月賞を一冠目とする現行の体系となり、スーパージンガが牝馬としては初となる、史上3頭目の佐賀3歳三冠馬となった。
スーパージンガを管理する渡辺博文調教師は、昨年8月に騎手から調教師へ転身。初出走(10月)から1年経たずに3歳三冠制覇の偉業を達成した。渡辺調教師は「恵まれすぎですね。この馬に巡り合えて、調教師冥利に尽きます」と感慨深げに語るとともに、「ダービーグランプリは考えてはいますが輸送に時間がかかるので。今年は(遠征は)わかりませんが、来年はどんどんグランダム・ジャパンへ向けていくので、応援して欲しいですね」と、今後の飛躍をしっかりと見据えていた。
Comment
真島正徳 騎手
スタートは今まで自分が乗ってた中では一番切れた方でした。しばらく外に出せませんでしたが、出した時の手応えを見たら大丈夫だろう、前は捕まえられると思いました。馬体増で調整に悩んだ部分もありましたが、それ以上に馬が強く成長していると思います。
渡辺博文 調教師
三冠達成できて嬉しいです。打撲で除外(宮之浦岳特別)の影響はなく、これから先、馬が成長していくためには馬体重増も想定内でした。今後は未定ですが、佐賀の3歳レベルではペースが遅く、馬の力を出し切れないので、強い相手にぶつけていきたいですね。