今年の南関東クラシック牡馬路線は、東京ダービー馬ヒカリオーソ、羽田盃馬ミューチャリー、無冠ながらも高いレベルで走り続けるウィンターフェルの3強が、上位に君臨してきた。
そんな3強がひと夏越して、いよいよ秋の始動。『3歳秋のチャンピオンシップ』の一戦として昨年から南関東S1に格上げされた戸塚記念に、ヒカリオーソとウィンターフェルが満を持して参戦。なお、ミューチャリーはセントライト記念GⅡ(JRA中山・9月16日)への参戦を表明している。
2頭への期待の表れから、ヒカリオーソが1番人気で単勝2.3倍、ウィンターフェルは2番人気で2.5倍。やはり、この2強が強かった。
トーセンボルガが何が何でもという形で先頭に立ち、1周目の3~4コーナーではすでに縦長の展開。好位の競馬も想定していたというヒカリオーソは、好スタートを決めると2番手から。その直後にウィンターフェルが続いた。
「無理に競るよりは行かせようと思ったので、あの位置は想定内です。これまでも気合のいい馬ですが、今日の前半はいつもより行きたがっていたので苦労しました」と、ヒカリオーソの山崎誠士騎手は振り返っていたが、1周目のホームストレッチではだいぶ落ち着きも取り戻したという。
レースが動いたのは3コーナー手前から。グリードパルフェが上がってくると、ヒカリオーソも譲らず、そのまま先頭へ。「ペースもそれほど速くなかったので、誰かしらは来るかなと思っていたので、来たら動かざるを得ないし、あそこからゴーサインを出しました。脚はまだ残っていたので、これなら大丈夫だろうという手応えはありました」(山崎騎手)
3~4コーナーではウィンターフェルが抜群の手応えで差を詰めてきた。しかし、最後の直線ではヒカリオーソをとらえられそうでとらえきれない。「キャリアは積んでいますが精神的にまだ幼いというか、なんで先頭に立ちたくないのかなぁ。馬に聞いてみないことにはわからないですが……」と、ウィンターフェルの森泰斗騎手。
そんなウィンターフェルを尻目にヒカリオーソはさらに二枚腰を発揮し、最後までその差を詰めさせず、1馬身差をつけての勝利。3着のグリードパルフェにはさらに5馬身差がついた。
「強かったですね。テンよし、中よし、終いもしっかりしているし、ちょっとハミ受けで気になるところはありますが、特に癖もなく乗りやすいので、オールマイティーな馬です。ただ、後ろから脚音が聞こえてきたので、ヒカリオーソのこの手応えでもまだついてくる馬がいるんだって思いました。ウィンターフェルも強い馬ですね」(山崎騎手)
ヒカリオーソの父は、地方競馬の希代なる名馬フリオーソ。息子は父のような大型馬ではないが、それでもひと夏越して馬体重を7キロ増やし、455キロ。より力強さも出てきたそうで、クラシックの時よりさらにパワーアップしたかのような強さを感じさせた。父譲りの真面目さと勝負根性も武器で、父のような長きに渡る活躍を期待したい。
Comment
山崎誠士 騎手
厩舎の皆さんが一生懸命仕上げてくれたので、少し間隔は空きましたが、それを感じさせないようなすごくいい仕上がりで、自信を持って乗りました。東京ダービー馬としてプレッシャーもあって緊張しました。ダービーもうれしかったですが、地元の重賞で勝つことができたこともすごくうれしいです。
岩本洋 調教師
応援してくださった皆さんのお陰で感謝しています。最終追い切りも非常に動きはよかったので、ダービー馬に恥じないようなレースができるように、仕上げはきっちりやりました。この後はダービーグランプリも目標にしていきたいですが、あくまでも馬の状態を見てからということになりますね。