第35回 2011年6月20日 トーシンブリザード


 南関東史上初の無敗の4冠馬に輝いたトーシンブリザード。「どこからでも競馬ができるレースセンスの高さは抜群だったし、あれだけの馬はなかなかいないよ。俺を男にしてくれた馬だし、一生忘れられない」と管理していた佐藤賢二調教師は目を細めます。

 南関東のクラシック3冠ロードは、上半期に全て実施する非常に過酷なローテーションとしても知られています。トーシンブリザードの時代は4冠(羽田盃、東京王冠賞、東京ダービー、ジャパンダートダービー)で、『あの馬(トーシンブリザード)は化け物だ』と言う関係者も多数いたほどです。

 02年フェブラリーSでアグネスデジタルの2着に突っ込んできた姿は、今でも感動を覚えます。

 トーシンブリザードは、南関東の誇りでした。

 05年JBCスプリント(7着)を最後に引退し、種牡馬生活に入りました。産駒は3世代で4頭しか残せませんでしたが、数少ないチャンスの中から有望な産駒を送り出しています。

 スーパースプリントシリーズの第1戦・川崎スパーキングスプリントに出走した、産駒のバトルファイターが僅差の2着となり、ファイナルレースの習志野きらっとスプリントへの優先出走権を手にしました。このまま無事に出走することができれば、記念すべき産駒初の重賞の舞台です。

 また、昨年の新馬戦を快勝したブリザードビートも楽しみな1頭(脚部不安を発症し放牧休養中)。今年デビューする2歳牡馬が最後の産駒です。

 現在のトーシンブリザードは荒木克己さんの牧場(新ひだか町)で功労馬として悠々自適な毎日を送っています。すでに13歳になりましたが食欲は非常に旺盛で、体は若々しく病気や怪我は一切ないそうです。

 好物は今も変わらずニンジンだそうで、強靭なあごっぱりでどんなに太いものでもバリバリと噛み砕く姿は、競馬場にいた頃と変わらないようです。佐藤調教師も年に数回は会いに行き、お土産にはもちろんニンジンを持参するそう。

 今でもあふれんばかりの迫力で放牧地を駆けているそうです。時が経つのは本当に早いですねぇ。トーシンブリザードが砂上を走っていたのは、ついこの間のような感覚なので……

 「今はとにかく一日でも長く生きてくれることが、功労馬としては一番だと思っています」(荒木貴宏さん)

 なお、荒木さんの牧場には、種牡馬オリオンザサンクスや功労馬のブライアンズロマンとエスケープハッチもいることはあまりにも有名ですね。みんな元気に過ごしているそうですよ。

 荒木克己さんの牧場見学はふるさと案内所のホームページでご確認ください。
 http://uma-furusato.com/


高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
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・船橋競馬を愛する100人の会