3歳秋のチャンピオンシップのファイナル、ダービーグランプリには、ここまでの対象レースを勝ち、ボーナスの可能性がある馬6頭が参戦。コパノリッチマン(王冠賞)、マイネルヘルツアス(ロータスクラウン賞)、ダルマワンサ(岐阜金賞)、フレッチャビアンカ(不来方賞)、カガノホマレ(サラブレッド大賞典)、ティーズダンク(戸塚記念)。まさに地方の3歳チャンピオンを決めるにふさわしいメンバーが顔を揃えた。
東京ダービー3着の実績もあるティーズダンクは専門紙に◎がズラリと並び単勝1.6倍。大井遠征の黒潮盃2着も評価されたコパノリッチマンが続いて3.4倍。地元岩手の二冠馬フレッチャビアンカが6.9倍の3番人気にしか過ぎなかったことでも、今回のメンバーのレベルの高さがわかる。
大外枠からじわじわと先頭に立ったのが地元のグランコージー。1000メートル通過が61秒台後半というやや速いペースでレースを引っ張り、向正面では後続を離しての逃げとなった。
7~8馬身ほども離れての2番手集団に、コパノリッチマン、ティーズダンク、フレッチャビアンカと、人気上位馬が互いに牽制しあっての追走となった。
直線を向いたところでグランコージーはまだ単独先頭。3馬身ほど離れて人気3頭は、コパノリッチマンを挟んでラチ沿いを突いたのがフレッチャビアンカ、外がティーズダンク。まるでそこがスタートラインであるかのように馬体を並べ、直線の坂は追い比べとなった。
末脚勝負ならティーズダンクに有利かに思えたが、残り200メートルの標識でグランコージーをとらえ、そこから弾けたのがフレッチャビアンカ。あっという間に後続を置き去りにしての快勝となった。
ティーズダンクはようやくグランコージーをとらえたまでで、勝ち馬とは4馬身差。「前走からの間が短いのか、初コースなのか、最後の坂で少し脚色が一杯になって、いつもの伸びではありませんでした」と笹川翼騎手。管理する水野貴史調教師は「高松(亮騎手)にうまく乗られた」と悔しそうだった。
殊勲は、速いペースでレースを引っ張り、3着に粘ったグランコージーだろう。中団から直線伸びたピアノマンも3着同着。直線伸びを欠いたコパノリッチマンは5着だった。
遠征勢有利に見られていたが、地元二冠馬のフレッチャビアンカだけでなく、ダイヤモンドカップでフレッチャビアンカに9馬身差をつけて逃げ切っていたグランコージー、東北優駿、不来方賞で、ともにフレッチャビアンカに1馬身差の2着だったピアノマンも能力の高さを示した。
不来方賞に続いての勝利となったフレッチャビアンカは、3歳秋のチャンピオンシップのボーナス800万円を獲得。地元で制した二冠が、同じ盛岡2000メートルの舞台だったこともアドバンテージとなっただろう。
「ダービーグランプリを勝てるようなジョッキーになれるとは思っていなかった」という言葉で喜びを表現した高松騎手は、近年、南関東をはじめ他地区での期間限定騎乗を重ね、重賞でのスポット参戦も目立つようになった。それが今年の成績にも現れ、前日までに挙げた122勝は、キャリアハイだった2015年の142勝を上回る勢い。ここまで山本聡哉騎手と岩手リーディングを争い、初めてトップを狙える位置にいる。そうした鞍上の勢いも感じさせる勝利だった。
Comment
高松亮 騎手
馬は最高に仕上がって、そのぶんちょっとテンションが高いなとも感じました。自分が思い描いていたよりひとつ前くらい、有力馬を見ながらということでは最高の位置が取れました。勝負どころではいいところを抜けられて、すごい脚で伸びてくれたので、あとは後続馬が来ないことを祈って追いました。
千葉幸喜 調教師
前走後も思った通りの追い切りを重ねて、順調に来たと思います。スローペースにはならないでほしいと思っていて、ペースが流れてくれて、さばけるポジションもよかったと思います。想像していた以上に強かったです。ここが目標だったので、次はオーナーと相談してになります。