園田オータムトロフィーは創設から、今年で3回目と歴史は浅い。しかし、第1回、第2回とも兵庫ダービー1、2着馬、一冠目の菊水賞馬と春の活躍馬が参戦し、これに夏の上がり馬が加わることで、関係者やファンにも認知され、3回目ながら、重賞の風格も備えてきた。
今年は兵庫ダービー馬ディアタイザンこそいないが、菊水賞など重賞4勝で、兵庫ダービー2着と兵庫の春の3歳戦線をリードしてきたステラモナークに、1月の笠松・ゴールドジュニアを制したガミラスジャクソンと2頭の重賞ウイナーが参戦した。
実績上位で順調に夏を過ごしたステラモナークが1番人気に推され、単勝1.8倍。2番人気の3.3倍は春の三冠路線には不出走のエイシンガネーシャ。こちらは中央で未勝利戦を勝った後も1勝クラスで3着2回。兵庫移籍後2戦目でトライアルであるクリスタル賞を制しての参戦だった。3番人気は9.9倍のガミラスジャクソン。鞍上には第1回のこのレースを勝っている“重賞請負人”赤岡修次騎手を高知から迎えていた。これらが上位人気を形成した。
レースは外枠から春と同様、ステラモナークが好スタートからハナ。しかし、最初の3コーナー手前で、2番手のガミラスジャクソンに後肢が接触するアクシデント。これでハミを噛んだステラモナークは1周目のゴール板まで折り合いを欠き、ガミラスジャクソン、ユウキラフェール、トライバルキングが形成する2番手集団との差を大きく広げながら、逃げを打つ展開となった。
向正面では後方にいたエイシンガネーシャが馬群を縫うように進出を開始するが、落ち着きを取り戻したステラモナークの逃げは快調。折り合いを欠いたぶんの失速どころか後続との差をそのままに、スイスイと3~4コーナーを通過。直線は好位で粘ったユウキラフェールに4馬身のリードを保ったまま、逃げ切った。3着にはエイシンガネーシャが入った。
この日、43歳の誕生日を迎えた鞍上の下原理騎手にとって、重賞制覇で花を添えるうれしい記念日となったが、それだけではない。今回で通算70勝となった重賞勝利は兵庫では木村健元騎手(現調教師)が持つ最多勝記録に並ぶ偉業ともなった。「誕生日に勝つのは狙ってました。尊敬する先輩の記録に並んでうれしいですが、これに満足せず、もっと勝ちたいですね」と下原騎手。早くも新記録達成へ照準を向けた。
折り合いを欠きながらも危なげない勝利で秋初戦を飾ったステラモナーク。春は重賞4勝目の後、のじぎく賞5着、兵庫ダービー2着ともろさも見せたが、順調に夏を越えての成長をアピールした。新子雅司調教師は「夏は坂路のある牧場で乗り込んで、状態は非常に良かったし、リフレッシュできていた。骨格というか関節が強くなっていた」と胸を張った。
今後は11月4日の園田・楠賞(1400メートル)が目標となるが、その前に、10月12日の名古屋・秋の鞍(1400メートル)を使うことが有力視される。3歳秋のチャンピオンシップの頂点である10月4日の盛岡・ダービーグランプリ(ダート2000メートル)について、新子調教師は「オーナーと相談になるが、遠いので」と参戦の可能性が低いことを示唆した。
Comment
下原理 騎手
ハナならチャンスはあると思っていた。最悪2番手も考えていましたが、ハナにこだわりました。逃げて折り合いがつくと相当な力を発揮しますし、折り合えれば、もっと離していたと思う。春に比べて返し馬の後の気合がすごく良かった。これからも楽しみなレースができそうです。
新子雅司 調教師
万全というほど仕上げていないが、このデキなら大丈夫という感じで何の不安もなかった。(後ろの馬と接触する)アクシデントがありながらも強い勝ち方で、能力はかなり抜けている。楠賞ではダービー馬ディアタイザンを負かしたいし、年度代表馬を獲れるように頑張りたい。