『3歳秋のチャンピオンシップ』の一戦として、一昨年からS1に格上げされた戸塚記念。今年の東京ダービー馬エメリミットは放牧休養中、羽田盃馬ゴールドホイヤーは骨折休養中でともに不在だが、南関東3歳戦の役者たちが出揃った。
黒潮盃で鎌倉記念以来の勝利を挙げたインペリシャブルが3.5倍の単勝1番人気。クラウンカップを優勝し前走のトライアルも完勝したウタマロ、北海道時の重賞ウイナーで南関東移籍後も安定感のあるティーズダンク、快速馬ファルコンウィング、全日本2歳優駿JpnⅠの覇者ヴァケーションまでが、10倍以内で人気は割れ加減。
そんな中、笹川翼騎手が3走連続でのコンビとなるティーズダンクが、南関東で悲願のタイトルを獲得した。
ティーズダンクは北海道時代に重賞サンライズカップを勝っているが、南関東移籍以降、全日本2歳優駿JpnⅠ・3着をはじめ、京浜盃3着、羽田盃4着、東京ダービー3着と、実力の高さは示し続けてきたが、勝ち切るまでもう一歩だった。東京ダービー(3着)後に放牧休養へ出て、8月上旬には帰厩し、じっくりと乗り込みが行われてきた。
「夏はうまく過ごせて、体重が増えていても成長分で、どっしりと貫禄も出てきました」と、レース前からティーズダンクの充実ぶりには水野貴史調教師の声も弾んでいたが、久しぶりにパドックに登場したティーズダンクの佇まいは、より雄大になり、まさに惚れ惚れする雰囲気。
戸塚記念直前のレース時は、土砂降りのような大雨に見舞われたが、本番では小降りになり、馬場状態も変わらず稍重。
レースは、想定通りファルコンウィングが逃げ、すかさずインペリシャブルが2番手につけていき、3番手以下の馬たちは大きく離れる縦長の展開。ティーズダンクは中団から。
「前のペースは少し速かったですが、この馬のリズムで大事に行こうということだけを意識しました。末脚勝負では自信があったので、うまく射程圏内に入れば何とか交わしてくれると。前との距離がなかなか縮まらなくて焦ったところもありましたが、最後はきっちりと捉えてくれて、馬の底力でカバーしてくれました」(笹川騎手)
ティーズダンクは勝負所から外を回って進出。最後の直線に入ってからも、ファルコンウィングが粘り強い走りを見せていたが、ゴール前でねじ伏せる形で1馬身差。ティーズダンクとファルコンウィングで決まり、浦和勢のワンツーフィニッシュ。3着が船橋のウタマロ。
ティーズダンクはこの後にダービーグランプリも視野に入れているという。南関東のタイトルを獲得したことはもちろんのこと、約10カ月ぶりに勝ったということも大きな自信となり、これからどんな強さを発揮していくのかとても楽しみだ。
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笹川翼 騎手
クラシックはとても悔しい思いがあったので、馬にタイトルをプレゼントできたことが何よりうれしいです。休養明けでしたが、跨った感じでは背も伸びているなぁと思ったし、力もついている感触はありました。レース勘が心配でしたが、2100メートルもきっちり上手に走ってくれてとてもえらい馬です。
水野貴史 調教師
クラシックでなかなか勝てなかったので、ここでひとつタイトルを獲らせてあげることができてホッとしています。枠(7枠11番)がちょっと外だったので、無理には前に行かず馬のリズムで、あとは笹川騎手にお任せでした。最後はしっかり伸びてくれる馬なので交わしてくれると思って見ていました。