ここのところの門別競馬は霧に悩まされ、前日にも20時発走の第10レースが取止めとなっていた。雨が降れば霧はなくなるのだが、この日は霧が出たり雨が降ったり。最終メインの王冠賞が近づくにつれて霧が濃くなり見通しが悪くなってきた。そしてレース後の表彰式も終えたあたりではほとんど向正面が見通せなくなっていたので、少しタイミングがずれていたら取止めになるかもしれないところだった。
ここまでの二冠で影の立役者となったのはシンボ。ともに逃げて厳しいペースをつくり、それでも3着、2着に粘った。その後は芝を目指して7月12日、JRA函館の横津岳特別を見事逃げ切って見せた。古馬相手の2勝クラスを勝ったことでは、二冠で上位を争った馬たちもそのレベルの能力があるということ。
迎えた三冠目の王冠賞。単勝1.5倍の断然人気に支持されたのは、二冠目の北海優駿で1番人気にこたえたアベニンドリームだった。
シンボが不在となっても、ソイチーノとカツゲキダイオウが先を争って前半はハイペース。すぐに縦長の展開となったが、2コーナーを回ると霧で各馬の判別が難しい。
先頭からは離れた6番手を追走していたコパノリッチマンが3コーナーからまくるように進出し、直線を向いて先頭。人気のアベニンドリームはと見れば、北斗盃の勝ち馬レッドカードとともに中団を追走し、コパノリッチマンを追いかけるように馬体を併せて進出してきた。
しかし早めに仕掛けたコパノリッチマンはセイフティリード。ゴール前で一気に差を詰めたアベニンドリームを3/4馬身差で振り切ってのゴールとなった。さらに1馬身差でレッドカード。北斗盃と北海優駿の間の1800メートル戦で、ここまで二冠の勝ち馬もそれぞれ能力を発揮しての決着となった。
勝ったコパノリッチマンは、中央で3戦してすべて差のある着外。北海道に移籍しての今シーズン、下級条件の1200メートル戦を3連勝。短距離に活躍の場を見出したと思われたが、そうではなかった。一気に距離延長の北海優駿では、逃げたシンボの直後を追走すると、直線半ばまで食い下がって3着。そして今回の勝利となった。
「転入当初は重賞を狙えるようになるとはまったく思ってなかったです」と、田中淳司調教師。「中央ではほとんどレースをしていないというのがわかったので、競馬を教える意味で短いところを3戦使いました。当初は北海優駿というプランもなく、3連勝した時点で、ちょっと使ってみようかと思ったくらいでした。そのわりには一気の距離延長でもがんばってくれました」と、田中調教師にも予想以上の充実ぶりだった。次走には大井・黒潮盃も選択肢としてあるようだ。
一方、惜しくも二冠を逃したアベニンドリームの角川秀樹調教師は、「(レースの)間隔を置くとテンのダッシュがよくないんですが、今回もそんな感じでした。レッドカードに内に入られて、外々をまわる形になったのも厳しかった。ただゴール前だけはよく伸びて、能力は見せたと思います」とのこと。こちらも黒潮盃遠征の可能性がある。
門別競馬場は引き続き無観客開催だが、この日1日の売上11億5925万2410円(SPAT4LOTOを含む)は、今年7月2日のグランシャリオ門別スプリント当日の売上を2000万円近く上回り、再びホッカイドウ競馬の1日の売上レコードを更新した。
Comment
服部茂史 騎手
この枠順(大外14番)なので、位置を気にせず出たところで折り合い重視だと、それだけを考えていました。前回は2000メートルでちょっと掛かりぎみだったんですけど、今回はうまく折り合いがついてくれました。成長が見えたのが一番の勝因だと思います。
田中淳司 調教師
テンに行く馬が揃っていたので、服部(騎手)と相談して、無理せず何番手でもいいから、早めに動いて、出し抜けくらわすようなレースできたらとは思っていました。枠順もよかったし、これが内枠だったらそんな競馬もできなかったでしょうし、強い馬(アベニンドリーム)にはかなわなかったと思います。