2020年12月18日(金)
第149回 ブルドッグボス
「今年8歳ですが、年齢的な衰えはひとつも感じないですし、『自分がボスだ』というオーラを出して調教で走っていたところも、最初から最後まで変わりませんね」と、ブルドッグボス(浦和・小久保智厩舎)の調教パートナーを務めてきた橋本直哉騎手。
ブルドッグボスは2014年10月に中央競馬からデビューし、ダートグレード競走での好走経験はあるも、タイトル獲得は惜しくもならず。2017年7月から南関東競馬の一員として走り始めました。
3年前のクラスターカップでは左海誠二騎手が騎乗し念願の重賞勝ちを収めると、その年のJBCスプリントは優勝したニシケンモノノフからタイム差なしの3着で、NARグランプリ2017の4歳以上最優秀牡馬と最優秀短距離馬を受賞。
2年前には重度な屈腱炎を発症して長期休養に入っていた時期もありましたが、不死鳥のごとく復活した後も、地方競馬短距離路線の大将として、高いレベルでの走りは続きました。
昨年のJBCスプリント(浦和)は御神本訓史騎手とのコンビで制し、NARグランプリ2019の年度代表馬、4歳以上最優秀牡馬、最優秀短距離馬と、3部門を獲得。
今年のJBCスプリント(大井)は惜しくも敗れたとは言え、スタートで遅れ後方から、直線では壁になりながらも懸命に追い上げ3着に入ったシーンは、負けての強しの忘れられないパフォーマンスになった方も多かったでしょう。
そんなブルドッグボスが、12月23日のゴールドカップを最後に現役を引退し、種牡馬入りすることになりました。地方競馬短距離界のボスとして走り続けた3年半。
「あの仔は本当に気持ちの強い仔です。肉体的にはもちろんですが、気迫も他の馬とは全く違う馬でした。成績を見てもわかるように、来年9歳になっても現役を続けられるなぁとも思っていましたが、オーナーさんの意向で、ゴールドカップを最後にレックススタッドさんで種牡馬入りすることになりました。
ゴールドカップも全然変わらない同じようなパフォーマンスはしてくれると思います。またボスのような馬を作りたいですね」(小久保調教師)。
ラストランとなるゴールドカップは、ブルドッグボス最後の雄姿を、目に心に焼き付けたいと思います。そして、種牡馬になった後は、一足早く種牡馬入りしたライバルの1頭キタサンミカヅキとの産駒対決を、数年後に見られることを心待ちにしています。
(提供:いちかんぽ)