2020年9月18日(金)
第146回 トーホウビースト
岩手の雄トーホウエンペラー。2001年の東京大賞典や2002年のマイルチャンピオンシップ南部杯などを勝ち、2年連続でNARグランプリ年度代表馬とサラブレッド系4歳以上最優秀馬を受賞。
現役引退後は種牡馬となり、南関東の重賞ウイナーとなったクレイアートビュンや中央のオープン勝ち馬トーホウオルビスなど、全国各地の競馬場で重賞ウイナーを誕生させ、楽しみな馬たちを送り出しました。
トーホウエンペラー産駒最後の現役馬と言われていたのが、トーホウビースト。中央、兵庫、2015年秋からは川崎の内田勝義厩舎へ移籍し走り続けてきました。「頑張り屋でした。丈夫だったし、こういう馬を無事是名馬と言うのでしょうね」(内田調教師)。
トーホウビーストは8月24日の川崎開催がラストラン予定でしたが、開催が急遽中止になったことから、その2日後には、川崎の小向トレーニングセンターから第二の馬生となる地方競馬教養センターへ向かったそうです。
到着した時の様子を教養センター養成課の中嶋遼さんに伺ったところ、「こんなに大人しい仔は見たことがない」と、馬運車の運転手さんも言っていたほどかなり落ち着き払っていたそうで、その後の引き馬でも従順にスタスタと歩いていたそうです。
9月に入ってからは教官が乗り慣らしを開始し、とても順調に進んできたそうで、この原稿が皆さんの目に触れる頃には、騎手候補生たちが跨り始めているようです。今後は、入所したばかりの騎手候補生たちが、基本馬術を学んでいくような『基本馬』としても向いているのではないかということでした。
「生徒たちには、トーホウビーストのお父さんトーホウエンペラーが、勝ち鞍を多く挙げて、G1も勝って、そんな偉大な馬だったということを知ってもらって、競馬の歴史も感じながら乗ってもらいたいです」(中嶋さん)。
トーホウエンペラーが地方競馬のトップホースとして名をはせてから約20年。今の入所している騎手候補生たちがまだ生まれる前だったことに驚きました。競馬の世界に身を置いていると、時間が早く流れていくことを改めて実感します。