2020年8月20日(木)
第145回 シュテルングランツ
シュテルングランツは中央5勝の実績で南関東へ移籍すると、S1に格上げされた2018年の東京記念で、的場文男騎手とのコンビで逃げ切り勝ちを収め、念願の重賞初制覇を飾りました。当時、的場騎手が自身の持つ重賞最年長勝利記録を62歳12日に更新したことでも話題になりました。(今年9月7日のお誕生日がくると64歳)
シュテルングランツは、それ以降も南関東重賞戦線の常連馬として活躍。
南関東では9歳までの年齢制限がありますが、A1馬は一年間のうちに一度でも5着までに入れれば、何歳でも南関東所属馬として走ることができる特例があります。
シュテルングランツも今年9歳になり、日吉オープンで4着に入ったのでその権利を得たものの、3月31日の柏の葉オープンで左前脚の繋靭帯炎を発症し、現役を引退しました。
その後は、茨城県にある乗馬クラブエトワールさんで、第二の生活をスタートさせています。
代表の中島悠介さんのお話しでは、しばらくはゆっくりと過ごし、5月上旬には獣医師さんから症状が回復に向かっているという診断が出たことにより、運動の負荷を徐々に強くしていきながら、現在は低い障害なども飛べるようになってきたそうです。その様子は、エトワールさんのTwitterでも紹介されていました。
お客様が騎乗できるようになるのはまだ先になるそうですが、元々のパワーがある馬なので、まずは競技や上級者向きから始めていくプランがあるそうです。
ナチュラルホースマンシップを取り入れた調教でお行儀よくなってきているそうですが、ハミを受けさせると、今でも前に進んでいこうという気持ちが強いそうです。レースで、あの的場騎手に前へ進むことを教えられた訳ですものね。
エトワールさんでは、クラウドファンディングでご支援を募集中です。ご支援は、シュテルングランツの再出発を目指すための1年間の必要となる諸経費にあて、いずれシュテルングランツが再調教などを通じて別の場所で活躍の場を見出す場合は、新たな引退競走馬の育成費などに充てていく予定ということです。
「今回のプロジェクトを通じて、乗馬に興味を持って頂く方をもっと増やして、そのことが引退競走馬の需要を増やすことにもつながっていくと思い、活動しています」と、乗馬クラブエトワール代表の中島悠介さん。